最近の暴落を踏まえて動画化。2分にまとめたのでぜひご覧ください。
タイトルの通りなんですが、景気後退局面でも配当は株価の下落ほどは落ちず、”ある程度”の減少で維持されます。
“ある程度”というのが、純粋な配当額でざっくり20~30%ということです。
記事では配当収入にフォーカスを当てているため、トータルリターンの議論は無視します。
が、最近配当利回りを逆転している債券投資と比較した場合、配当株を買う=キャピタルゲイン含めたトータルリターンで上回ることに期待するということです。
米国株の配当総額推移
配当は景気後退局面でも一定割合を維持してくれています。キャピタルゲインが景気後退局面でマイナスに振れるのに対し、インカムは2.6~3.2%の幅に収まっています。
S&P500の過去実績的には約2%です。
米国企業の経営者は2%前後を死守すべきラインとして認識していると言っていいでしょう。
ただ、利回り=配当÷株価なので、株価が下落すれば利回りは上がっていきますね。総額としてどうか見たいところです。
結果として、S&P500の配当総額はリーマンショック時でも15%~20%程度の減少幅でした。
こっちのほうが長め。書いてある内容は同じです。2000年前後のバブル崩壊でMAXから配当総額が30%くらい減ってますね。
最近は配当より自社株買いのほうが選考されていますが、景気後退局面では数を減らしています。
安いところで買うほうが自社株買いのあり方だと思うのですが、現状は株価のプッシュ材料になってます。
とはいえ、株価の増減を無視してずっと持っておくなら配当収入だけ見ればよいことになります。
現在受け取っている配当額から-30%は想定しておきましょう、ということです。
ちなみに日本株も傾向としては同様です。
連続増配銘柄のコミット
30%というのはそこそこ大きな数字に感じるかもしれません。リセッションでも配当を減らす企業がそれなりにあるという証左です。
ところで、連続増配銘柄というものがあります。
日本でも米国でもありますが、10年を超える連続増配ということは、リセッションの最中も毎年配当額を増やしてきた実績を持っているということですね。
米国には50年を超える連続増配銘柄がたくさんあります。この実績で買われている株なので、今後も増配を続けることを実質的にコミットしています。
こうした株を集めた場合、保証は出来ませんがリセッション時期に-30%まで落ちることはなさそうです(配当額だけで見ればプラスになる可能性のほうが高い)。
配当利回りと株価の推移
配当利回りと株価の推移を比較すると、下落局面で利回りが上がっています。先程書いた通り、計算式が利回り=配当÷株価なので当然です。
リーマンショックで株価指数が50%減っている間に、利回りは30~40%くらい増えています。
元々100万円投資して毎年2万円のインカムを得ていたとすると、リセッションで50万円に下がって(やばい)も、インカムが1.6~1.8万円くらいをキープするはずです。
相当雑な計算ですが、インカムまで半減するわけではないということですね。
海外株はこの他に為替差損もあるので簡単には言えませんが、先ほどと同じく今から30%減くらいの余裕を見積もっておけばよさそうです。
VYM利回り推移
ではS&P500ではなく高配当株ETFのVYMだったらどうでしょう。実のところ配当の増減率は同じくらいに見えます。概して25%減少くらい。
赤がS&P500、青がVYMです(2006年8月~現在)。S&P500とキャピタルロスの幅は同じくらいですね。
戻り幅はS&P500のほうが強く、ここ10年だとトータルリターンでS&P500に負けています。それだけ株価の押し上げが強力だったということです。
VYMの利回り推移は以下のように3%前後ですので、S&P500より1%程度高くなります。
株価が下落すると配当総額も落ちますが、利回りは4%近くまで伸びていきます。
直近5年だと3%を切っていますが、やはりS&P500より1%くらい上ですね(比較表はVIGだけど……)。
超長期で見るとS&P500の配当成長率は平均すると0%付近にあります。直近に限れば10%近いのですが。
VYMの成長率は平均して10%近くあります。過去10年間の平均収益率は7.79%だそうです。
参考Dividend Investing Through Vanguard’s High Dividend Yield ETF
なみに、VYMとHDVだとHDVのほうが0.5%くらい利回りが高くなりますが、ちょっと注意しといたほうが良い点もあります。
- HDVは16年に減配していたりして安定感がやや薄く、VYMは毎年7~8%の安定した増配傾向
- HDVの回転率は50%と非常に高く、VYMは元々の組入銘柄数が多いため回転率が低い
ということで、高配当ETFへの安全マージンも先程までと同じように考えて配当30%減を見込んでおくべきと思います。
配当金を受け取るということ
いくつかの記事で説明しましたが、経済合理性で言えば課税繰り延べされる自社株買いやインデックスが優位です。
そもそも配当はお小遣いではなく、配当が支払われたらその分企業価値(時価総額)が下がっています。そうじゃなかったらもし毎日配当上げたらどんどん企業価値が膨らんでいることになりますからね。
利益の使いみちとして配当、自社株買い、事業再投資という選択があって、その中で直接株主還元する方法になります。
配当はアンパンマンが自分の顔をちぎってあげるみたいな感じです。ちぎったアンパンを食べたらジャムおじさんがせっせと労働して新しい顔を作ってくれるまで復活しません……ですよね?
配当割引モデル
本来は株主=オーナーなので会社の利益=株主のものです。企業価値とは企業が将来稼ぐ利益=キャッシュフロー=配当の現在価値の総和と見ることが出来ます。
配当割引モデル
株式の理論価格は、現在の 1 株の保有によって将来得られる配当を、投資家 の期待収益率で割り引いた現在価値である。
将来のキャピタルゲインの源は将来の配当期待によるものなので、数式に出てきません。
配当株を選ぶ意味を
私が見た感じ、高配当株を選好する人は以下のどれかだと思います。
- お小遣いがほしい(インカムがうれしい)
- リターン超過した過去データに基づいている
- 安定した収入源がほしい
1つめは実態として意味が薄く期待リターン7%に対して購入すべき、2つめは高配当株のほうが高リターンの傾向があるのですが再投資を前提としたデータであることを理解すべきです。
ただ3つめについてはリタイア後は収入の計算が難しくなると生活に困るので、安定した利回りの配当株を使った運用が好まれます。
動画もよろしくおねがいします!
ではでは。