ビットコインと量子コンピュータ――暗号解読の攻防

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たまにはテーマ系の記事でも書こうかと思います。

大人気のビットコインですが、まだ本格的なブームになる前に記事を書いています。そこで予想していた通り、主に投機目的で流行っていますね。お金が稼げるからみんなビットコインを買っているということです。

3分で分かる、ビットコイン(Bitcoin)の基本

実際にビットコインを使って日常生活が出来るのかというと、やっぱり手数料が高くて難しいみたいですね。

まあそれは近々の視点として、結局のところ今のシステムに満足出来てしまう日本で明に流通する理由はあまり見当たりません。

VALUみたいにビットコインを使ったサービスが出れば別ですが、あれも他通貨の法規制の関係で利用しているわけで、そのうちビットコインに規制が敷かれるとメリットがなくなってしまいます(特定の国に縛られないことがビットコインの魅力ではありますが)。

しかし、それ以上にブロックチェーン技術が将来破られるリスクのほうが見ていて興味深いところです。

量子コンピュータを始めとした次世代型の非ノイマンコンピュータが登場すると、計算速度が飛躍的に向上し、暗号解読の技術が進歩してしまうからです。

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おさらい:ビットコイン(ブロックチェーン)の凄さ

投機目的の人にとっては値動きが凄いって話で終了してしまいますが、ブロックチェーンを携えたビットコインは本当に革命的な技術なのです。

3分で分かる、ブロックチェーンの仕組み
3分で分かる、ブロックチェーンの応用範囲と、変化する社会

ブロックチェーンは、互いに信頼関係がない売り手と買い手が直接取引出来る、「決済システム」の仕組みを作ったという点で画期的なのです。

再掲ですが、それを可能にするのは以下の仕組みです。

1,電子署名を用いてビットコインを送ること。
2,取引をP2Pネットワークで維持するブロックチェーンに記録すること。
3,ブロックチェーン改ざん防止のため、プルーフオブワークの計算を課すこと。

出典:仮想通貨革命

無駄な時間を使わせるプルーフ・オブ・ワークという高負荷の計算で、改ざんに対するインセンティブを奪ったことが、改ざん対策として有効だと言える点なのです。

高負荷の計算というのは、ノンス(nonce)という特定の値を割り出すことです。ノンスを割り出したマイナーが作成したブロックを正しい取引として認めるという仕組みですね。

で、ノンスの計算がなぜ難しいかというと、これがRSA暗号で使われる素因数分解(ある値から2つの素数を割り出すこと)だからなのです。

素因数分解というのは効率的な計算方法が証明されていないため、総当たりで計算する必要があり、これは現代のコンピュータを使っても相当時間がかかるものだそうです(具体的な時間は調べても出て来なかったのですが、確か1万年くらいだったかと思います)。

暗号解読の技術

暗号解読について詳しくはサイモン・シンの本を読むと面白く理解出来ると思います。

暗号化はメールやWebページの送受信など、あらゆるところで活用されている技術です。これがなくなればいつ誰に盗み見られるか分かったものではありません。

共通鍵暗号と公開鍵暗号

暗号化の方式は2つあって、それぞれ共通鍵暗号、公開鍵暗号と呼ばれています。

共通鍵暗号は暗号用と復号用に同じ鍵を用いる方式です。これは特に難しい話ではありませんね。物理的な鍵と同じ仕組みです。

(出典:CSP SSL)

一方、公開鍵暗号は暗号用の鍵と復号用の鍵が異なる方式です。暗号に使用するのは公開鍵で、復号に使用するのは秘密鍵と呼ばれます。

(出典:CSP SSL)

RSA暗号は公開鍵暗号の一つです。公式にすると以下の通りです。

(出典:atmarkIT)

ぱっと見ても意味不明だと思いますが、ミソは「素数2つの掛け算はすぐ計算出来るが、ある値から素数2つを割り出すことは非常に難しい」という素因数分解の特徴を活かしている点です。

暗号化(e乗)は公開鍵があればすぐ計算出来るのに対して、復号(e 乗根)はnの素因数(を元に作られた秘密鍵d)を知らないと難しいということですね。

計算速度が桁違いの量子コンピュータ

量子コンピュータの登場はおそらく、公開鍵暗号を変えてしまうことになります。

なぜなら量子コンピュータの計算速度は従来のノイマン式コンピュータの1万倍と言われているから。

純粋なマシンパワーの限界(ハードウェアの限界)を暗号の強さにしていたのに、一足跳びで計算しきれるマシンパワーを手に入れたら、世の中の秘密文書を閲覧し放題になります。

ブロックチェーンについても同じです。

プルーフ・オブ・ワークというマシンパワー依存が取り払われ、誰かが51%のマシンリソースが確保出来たとき、インセンティブに反していても書き換える人が出てくるでしょう。特にマネーロンダリング目的とか。

結局はイタチごっこ

とはいえ、それで暗号やブロックチェーンの技術が使えなくなるかというと、そこまで心配していません。

おそらく次は量子コンピュータを使った量子暗号が登場し、量子コンピュータでも解読出来なくなる新しい暗号がまた作り出されるのでしょう。

ブロックチェーンでも量子コンピュータの登場に備えて、既に改良版の開発が進んでいます。

参考量子コンピュータでも破ることができないブロックチェーンが開発される

インターネットのセキュリティでも同じことが起きています。私達はしょっちゅうWindows UPdateを行いますよね。

強固なセキュリティを作ってもそれを本気で破る人が出てきて、その手口を見た防御側が一層強固なセキュリティを開発し、突破側がまた新しい手口を見つける……。

イタチごっこなんですね。


こういう意見↓もありますので、量子コンピュータと言えどもすぐ解読出来るわけではないのかもしれません。

参考量子コンピューターの登場によってもRSA暗号システムは破られないかもしれない

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