AR/VR、IoT、ロボット、自動運転車などいくつかのIT系テーマを見てきて分かる通り、その発展の背景にはセンサー(センシングデバイス)の進化を前提としています。
センサー自体は普通のハードウェアビジネスではありますが、まだコア技術による部分が大きく、コモディティ化は先の話になります(いずれは半導体と同じ未来を辿るとしても)。IoTで500億のデバイスに搭載すれば凄まじいことになりますので、この領域を見ていきたいと思います。
※だいぶ簡単な紹介(勝手な感想)になっていますので、投資にあたってはもっとしっかり調べることをおすすめします。
目次(クリックで飛びます)
センサー・計測機器関連銘柄
北陸電気工業(6989)
小型3軸加速度センサー(MEMS3軸加速度センサー)の量産化を世界で初めて実現した企業です。湿度センサ、フォースセンサー、圧力センサモジュール等、他にも多数の製品群を持っています。
※3軸加速度センサー:XYZ軸3方向の加速度を1デバイスで測定できるセンサーで、自動車の横滑り防止システムなどに使われる。
要するに前後左右への加速度から車体の動作を検知し、横滑りしていると判定された場合に制御機構を動かして車両を正常化させるというわけですね。自動運転車のレベル2段階から実用される技術であると同時に、ドローンとか他にも活用余地が大きそうな感じでした。
決算を見ると中国と日本の売上比率が1:1くらい(二国で80%以上)なので、為替や中国経済の影響で結構上下があるのかなという印象はあります。
日本セラミック (6929)
赤外線センサー(自動車・家電向け)で国内9割、世界6割のシェアを誇る企業。超音波センサーも持っています。こういう圧倒的なシェアを持っていると安定したキャッシュが見込めるので、次の技術開発に投資するサイクルが回せて強いですよね。
赤外線センサ(せきがいせんセンサ)は、赤外領域の光(赤外線)を受光し電気信号に変換して、必要な情報を取り出して応用する技術、またその技術を利用した機器。人間の視覚を刺激しないで物を見られる、対象物の温度を遠くから非接触で瞬時に測定できるなどの特徴を持つ。
出典:Wikipedia
超音波センサーも障害物を特定して避ける技術なので、自動運転に欠かせません。良い銘柄だと思います。このところ業績横ばいみたいです。
日本電産(6594)
電子系なのに株価強すぎwここも社長が割りと有名なのかな。
小型~大型のモータを主力事業として、HDDは世界首位(シェア8割)、家電や車載用も伸びてきています。
堀場製作所(6856)
独立系の分析機器大手。ここはエンジン排ガス測定で世界シェア8割の企業です。また、エンジン出力をタイヤに伝える駆動系の試験やブレーキの試験など、自動車開発全体に対する各種計測システムの開発を手掛けています。放射線モニタなんかも作ってるみたいですね。
エンジンってこれから変わるんじゃないのかなと一瞬心配しましたが、結構事業の幅は広そうです。
長野計器(7715)
機械式圧力計はグループで世界シェア首位らしい。HPにもありますが、圧力計器専業なんですね(センサーと違ってあんまりたくさん売るモデルではなさそうかな?)。
しかしこの低迷感はもう少しなんとかなりませんかねw
今更ながら、計器系ってIoTと違ってデバイスの数だけ搭載するものじゃないので外したほうが良かったかもですね。こういうところに案外世界首位の技術を持ったメーカーが眠っていて、知るとそれはそれで楽しいのですが……目につかないとずっと低迷してしまうんですよね。高シェア=成熟産業化したら配当に回して株価を維持するのが米国企業ですが、日本企業も株価を気にして欲しいものです。
神栄(3004)
食品や繊維業が中心ですが、湿度センサーが世界トップシェアを誇っており、家庭でも宇宙開発でも利用されています。その割に連結赤字で、株価は長らく低迷していますが……。
トプコン(7732)
元は光学兵器開発・製造のために作られた会社らしいです。
世界有数のGPS測量や眼科用機器を軸とした企業で、中々面白い事業ポートフォリオだと思います。
SEMITEC(6626)
バルクセンサー、薄膜センサーなど各種センサーの製造。薄膜センサーはSEMITECグループがはじめて量産化した模様です。そのためか医療系が強いんですね。
芝浦電子(6957)
自動車、住宅、空調機器など様々な機器で使われる温度センサー部品(サーミスタセンサ)の最大手。
業績は悪くないように見えますがどうでしょう。まあ部品事業全般に言える話ですが、ほぼ海外生産のため為替には注意ですね。
オプテックス(6914)
防犯、自動ドア用センサーで世界シェア4割。警備向けのため無名ですが結構高収益で、今後は自動車の加速度センサー(セーフメーター)なども手掛けています。
また、画像処理用LED(発光ダイオード)照明市場で世界首位のシーシーエスを子会社化しています。
アルプス電気(6770)
売上7000億円超の企業なので私の投資先としてはちょっと大きいかもです。
磁気センサ、気圧センサなどセンサー系の他、IoTに必須の通信モジュールも持っており、既に株価も高騰していますね。
ルネサスエレクトロニクス(6723)
15年9月までは産業革新機構のもとにあり、事実上倒産していたような企業です。
世界トップクラスのシェアを誇るフラッシュマイコンが軸。マイコン=マイクロコンピュータはハードウェアの制御をする機器ですね。
車載向け、標準デバイス向け両方の製品群を持っており、IoTの流行りで今後モノへの電子機器搭載が増えれば好決算が期待できるかも? うーん……ようやく黒字化したものの売上減少が酷いことになってますね。
JVCケンウッド(6632)
ここは一応挙げておきます。
センサーそのものの開発ではなく、システム開発ですね。自動運転車関連銘柄として有名ですが、デンソー(6902)のレーザーセンサーと組み合わせた自動運転監視カメラのシステム(障害物を検知して避ける技術)を開発しています。自動運転車関連銘柄の記事をそのうち書きますので、そこで詳しくみたいと思います。
センサー・計測機器関連銘柄(その他)
数が多かったため、世界トップシェアかどうか未確認だったらこっちに置きます。
- ユビテック(6662):ATMの紙幣鑑別センサー軸。IoT銘柄ですが、再建中らしくちょっと微妙。
- ウインテスト(6721):半導体計測(CCD及びCMOSイメージセンサー)主力。自社工場は持っておらず、生産は外部委託しています。
- 古野電気(6814):超音波および電磁波を中心としたセンサー技術を持っています。魚群探知機、電子海図など船舶用電子機器の世界大手で、海運業系ってどうなんだろうって感じでしょうか。無線技術が実を結んでくれば行けるかも……?
- 大泉製作所(6618):温度センサー。ちょっと業績怖いかな。
- 横河電機(6841):工業計器首位、制御事業のリーディングカンパニー。この会社は結構大きいですね。計器というよりほぼ制御事業(9割)の会社です。
- IDEC(6652):制御機器、操作スイッチ、表示ランプなど。
- 国際計測器(7722):主に自動車業界に対して計測機器を提供。バランシングマシンなど。よく分からん。
- エー・アンド・デイ(7745):計測機器主力ですが、DSP(ディジタル演算処理装置)と呼ばれる自動車に使われる部品を製造。チャートの低迷感を払拭できますか。
センサー・計測機器関連銘柄(大手企業)
日本はこの分野に強いのでかなりの数の企業が関連してしまうということで、とりあえずさっくりと(主に大手企業)。
カメラを作ってる会社はだいたい含まれますね。特にスマホやデジカメにも使われる画像センサー分野ではソニーが世界シェア4割を占めているトップ企業で、お家芸の一つと言われています。
- ソニー(6758):CMOSセンサーの感度を10倍に高めて自動運転車用カメラへ参入。ZMPと共同開発したカメラも。
- パナソニック(6752):自動運転やADASに必要なカメラやセンサーの製造。
- 村田製作所(6981):超音波センサーの大手。3次元自車位置推定センサー開発中。
- キーエンス(6861):センサー、変位計、画像処理など製造。
- 日立(6501):金属などの変化を瞬時にとらえる超小型センサーを開発。
- オムロン(6645):制御機器が事業の軸。
- 島津製作所(7701):分析・計測機器大手。
- パイオニア(6773):カーナビ大手。走行空間センサーの開発。
うーむ……やはりセンサー事業として評価されるというよりも、IoTや自動運転車みたいな他テーマに巻き込まれて株高になるストーリーで行かないと、業績良くても低迷することになりかねませんね。