レオパレス(8848)の株価がとんでもないことになってますね。
投資ブログをやっているとこういう不祥事ネタには事欠かないのですが、対応を誤るとこうなるという格好の事例です。
目次(クリックで飛びます)
レオパレス株の下落要因
言うまでもない話ですが、レオパレスが暴落しているのはこれが原因です。自社HPに載ってます。
ざっとまとめると、
- 18年5月に音漏れなどを防ぐための界壁がない施工不良で炎上→全国のアパートを調査開始
- その結果、全国33都府県の1,324棟のアパートで、壁や天井に施工不良(建築基準法違反)が発見される(まだあるかも)
- 7,782人に3月末までの退去を一斉要請
- ついでに本件は以前からガイアの夜明けで報じられており、会社ぐるみで強引な家賃交渉などをやっていた模様
当然オーナーも入居者も激怒して訴訟に発展していますし、こんな欠陥住宅に住みたいと思う人もいないでしょう。
昔から壁が薄いのは有名でしたが、延焼の危険性も高かったということを聞くと恐ろしい限りです。
リスクの高いビジネス構造
元々18年5月の施工不良発覚以降は入居者募集を停止していたこともあり、同社のビジネスは下向きの状態が続いてきました。
紫の19年3月期のグラフがずっと右肩下がりなのが分かると思います。
ただでさえ今期は苦しい予想だったのですが、ここから更に半減となります。
営業利益率4%というのは、不動産ビジネスとしても高くないと思います。それはレオパレス21のビジネスモデルの問題です。
HPにあるように、以下のような構造になっています。
一括借上げ(サブリース)の構造と問題
問題は一括借上げ(サブリース)です。
これが何かというと、オーナーと入居者の間にレオパレスのような借上げ会社が入り、一括契約をする形を言います。レオパレスの場合は工事施工も請け負っていました。
レオパレス→オーナーに一定額の固定支払い額が設定され、空室が増えても担保されます。つまり、空室リスクの一部をレオパレスが負担しているということです。
日本の不動産市場は明るくない
あまり長々とは書きませんが、日本の不動産市場はあまり明るいと思ってません。
まず、現状でも日本の家屋の1/7は空き家です。しかも2033年には1/3が空き家になるという予測も立っています。これは人口統計を元にした、極めて実現性の高い予測です。
参考住宅はもはや粗大ゴミ?3軒に1軒が空き家に?お金をもらって引き取る例も
住宅着工戸数もずっと右肩下がり。人口減少しているのですから当たり前ですが、需要がないのに住宅は作らないのです。
もちろん物件を絞れば別ですが、全体で見たときに市場成長は期待できないと考えられます。
レオパレスのように手広くやっている会社がすべてアタリ物件を引くわけもないので、競争市場のわりに儲けは浅いのです。
無理を通せば歪みが出てくるということ
ちょっと遠回りしましたが、本題に戻ります。
こういうビジネスモデルなので、ぶっちゃけあんま儲かっていなかったのですね。だから業績を良くしようとして無理をしたわけです。
施工不良以外にもことごとく法に引っかかるようなことをしていたようですが。
『ガイアの夜明け』が初めてレオパレスを取り上げたのは、一昨年の年末のことです。この時はアパートのオーナーを直撃し、家賃保証がまったくのウソであることや、レオパレスからの家賃収入の減額や解約交渉の実態を紹介。
ここまで問題が続くと、なるべくして起こった事態なのではという感想しかありません。
企業信用度の重要性が上がる
法令遵守、経営管理の重要性はここ数年で上がってきたように感じます。
特に大手のブラック企業が軒並み槍玉に挙げられている現状を見れば、内部統制の強化は喫緊の課題です。
理由はやはりインターネット、SNSの普及ですね。同一コミュニティにおける情報伝達速度はだいたい8倍近く早いそうです。
SNSを一つのコミュニティと見立てれば、情報拡散速度も8倍以上です。情報統制も効きません。
Twitterにバイトテロ動画をアップして人生終了する子が後を絶ちませんが、一回Web上にアップされたら二度と取り消せないということを理解するべきです。
レオパレスの後手対応
レオパレスは再三の指摘にも対応が後手に回っていました。
- 施工不良が指摘されてから調査すると言ったのに、半年以上経っても全く進んでいなかったこと
- 再繁忙期となるこの時期に一斉退去を命じたこと(分かったところから段階的に退去してもらえば良かったのでは?)
- これだけ騒がせている中、オーナー向け説明会に社長が出てこないこと
これで直接の利害関係にある投資家、居住者、オーナーの信用をひとまとめに下げました。
誠意なく形だけお詫びしたところで、受け取る側はすぐに見抜きます。
大事なのは炎上対応のほう
こうなると炎上対策・炎上対応をもっとまともに考えたほうがいいですよね。
特に消費者ブランドで勝負する企業なら、専門の対策チームを雇ってもいいくらいだと思います(流石にあるかな?)
最近本屋でこういう炎上対策マニュアル的な本が並ぶようになった気がします。クレーマー対処に似たところがあるなと感じます。
火消しに失敗してどんどん燃え広がった例というと、最近はタカタのエアバッグや日大タックルの件を思い出します。
やっぱり、しらを切って逃げ通そうとするのは悪手です。
だいたいどのケースでも、
- 説明責任を果たして
- 誠実に後処理を行い
- あとはひたすら余計なことを言わずに静観すること
誠実に、地道にマイナスからリスタートするしかないです。「一回やらかした人間に人権はない」というような社会なのですから。
今回についてはどう対応したって手遅れなくらい、あまりに酷い話ですけどね……。
株価は暴落していますが、間違っても逆張りで入らないようにしましょう。