ここのところ日本市場が絶好調です。その原動力はやはり外国人投資家。
彼らは日本市場をまだ相対的に割安市場と見ているようですね。
参考株、海外投資家が6週連続買い越し 個人は売り越し・11月1週
外国人投資家は6週連続買い越しで、買越額の累計は2兆4871億円となりました。個人が売って、外国人投資家が儲かるいつもの動きです。
外国人投資家がトレンドを作る以上、彼らが日本株を買うのであれば、私達も追従した方がよいのでしょうか。
いえいえ、それは早計なんじゃないかというのが今回の記事です。
目次(クリックで飛びます)
外国人投資家の正体と実態
さて、一口に外国人投資家と言っても、一体誰がこんな大金を日本に注ぎ込んでいるのでしょう。
内訳ははっきりしていませんが、多くはヘッジファンドや政府系ファンド、年金基金で、特にヘッジファンドはどんな相場であっても利益を上げることを第一とした組織になります。
日本株の保有者は3割が外国人投資家
日本取引所グループの調査で、外国人投資家の比率は年々高まっていることが分かっています。
青線がそうですが、横ばいの金融機関、右肩下がりの個人に比べて外国法人の比率が急上昇して、15年時点でついにトップに立っています。
外国人投資家は出来高の7割を握る
そしてもう一つ重要な視点が、外国人投資家が売買に占める割合です。
実は保有割合で3割程度の外国人投資家ですが、売買高では7割を占めています。
これが意味することは、外国人投資家はより売買頻度が高いということの証左です。
売買頻度が高いとはどういうことか。外国人投資家が日本株を買う目的が見えてきませんか。
- 相場を読み、短期でキャピタルゲインを取りに行く目的
- 有事の円買いによるリスクヘッジ目的
正直言えば、日本市場に対しての将来性に期待して投資しているのではなく、割安放置や仕手株等の、市場の歪みがあるから参入するだけなのです。
トレンドの作り方
日本株を売買するヘッジファンドは一つではないので、彼ら同士が札束で殴り合った結果、トレンドは生まれてきます。
いくつかパターンがありますが、テクニカルもファンダメンタルズも無視するケースも多く、読みにくいのです。
- 大口の資金量勝負で、方向感が定まると一気に飛んでいく。拮抗するポイントは転換点としてチャートに見えるので、多くの人が意識する。
- 多くの人が注目するポイントで一気に勝負をかけて、ストップを巻き込んで加速させる(震災後の2011/3/14にに79円を割ったみたいな動き)
- 個人のストップ注文(逆指値)を刈り取って振り落とした後、今度は安いところで大量に買い込んで急上昇させる(結構よく見るやつで、ヒゲつけて一気に戻す形になります。多くの人が意識してるストップより深めに置いても勢いついて引っかかるので、見てから動かないとキツイ)
日本株を売る日本人
株というのは売る人がいるから買うことが出来るわけで、一体誰が外国人投資家に株を売っているのかというと、残念ながらこれは日本の個人投資家になります。
見ての通り、逆相関しています。どちらが儲かっているのかは言うまでもない話です。日経平均株価に連動しているのがどちらか、見てみてください。
外国人投資家が7割近い売買シェアを握っているわけですから、ほぼ彼らが好きにトレンドを作ることが出来ます。
日本株への投資は外国人投資家の動向を見逃せないと言われる所以です。
なぜ売ってしまうのか
しかし、残念ながら日本人は外国人投資家が買う場面で売ってしまいます。これはなぜなんでしょう。理由は3つあると思っています。
- デフレ低成長に慣れすぎた
- 国民性
- 投資教育が不十分
デフレ低成長に慣れすぎた
デフレで低成長が当たり前の時代が長すぎたせいで、こんな株高になるはずがないと思っているのかもしれません。
通常株の期待リターンはプラスになりますが、日本株だけは違いました。
1989年にバブル崩壊直後にTOPIXに投資した場合、プラスになるのはアベノミクスがはじまった2013年まで20年以上待たなければなりませんでした。
20年というのは会社員時代の約半分ですよ。株は儲からないものという常識が浸透しても不思議はない長さです。
昨今の株高も政府主導であって、日本人投資家の「株が上がる」という実感はあとから付いてきたという感じでしょうか。
国民性
国民性もあります。よく言われるのは、日本人は逆張りを好み、アメリカ人は順張りを好むということ。
日本人は良いことがあったら次は悪いことがあるかもと思い、アメリカ人は良いことがあったら次はもっと良いことがあると思う人種です。
FXでも同じ傾向があって、東京時間のドル円市場はほとんどレンジ相場です。日本人は大人しい割にギャンブル好きの国民性です。
投資教育が不十分
日本人投資家は株の平均保有期間がわずか2.3年です。
多くの人にとって投資というものは資産形成のためというよりも一発当てて稼ぐ博打のようなものと認識されていますね。
これは投資教育が足りていないこと、お金の話をタブーにする意識が未だに強いせいだと思います。
実際のところ、投資は難しくないし、ギャンブルでもないのです。
市場平均に投資することで、確率と期待値に基づいて、ほとんどの場合プラスリターンを生むことが出来るのですから。
米国株を買う日本人
さて、まだまだ世間一般ではマイナーな存在ですが、米国株を買う日本人がじわり増えているように感じます。
それは米国市場の優位性が認識として浸透してきていることの現れでしょう。
まあ米国株投資家にも、私のように日本株もやれば米国株も手を出しているような人はいると思いますが。
外国人投資家と異なる時間軸で
冒頭の議題に戻りましょう。外国人投資家が日本株を買っているからと言って、盲目的に追従すべきでないという話です。
先ほど見たように多くの外国人投資家は短期的な利益目的に売買をしています。とすると、相場観とその場その場の判断力、枚数を突っ込む度胸も求められますね。
反面、資産形成に向けてコツコツ貯めていこうという人とは、時間軸も戦い方も異なっています。
一般に短期ほど予測はしやすくなりますが、売買回数が増えると手数料も増え、多くの場合で手数料負けします。逆に長期ほど値動きは予測しにくくなるもののリスクは平準化され、一定の期待リターンに結果が近似していきます。
外国人投資家を真似て日本株で利益を上げるにはキャピタルゲインを狙うということで、それは上級者、プロ向きのやり方です。
米国株に投資しているのは、もっと長い時間軸で見て、日本株をアウトパフォームすることに期待しているからだと、改めて認識しておきましょう。
米国株も上がっている
外国人投資家が米国株を売って日本株を買っているかというと、普通に米国株も上がっています。日米市場の相関係数は0.7を超えているので、かなり連動します。
日経平均が25年ぶり高値で沸く中で、ダウ平均も史上最高値をどんどん更新していますね。
だいぶ割高感が出ていると言って一年以上経ちますが、なんだかんだ上がり続けてますし……^^;
逆にリーマン・ショックを見ても、米国が風邪を引くと日本はインフルエンザにかかります。下落幅も、その後の復活の早さも、米国の強さは日本の比ではありません。
ということで、短期で多少の変動はあれど、米国市場に投資しても日本株を大幅に劣後するとは思わないですね。
ところで、外国人投資家と海外投資家ってどっちが正しい表記なんでしょう?
今回のと似た記事を以前書いているので、合わせて読んでもらえると嬉しいです。