そーせいグループの爆発的な上昇に伴って、最近大人気のバイオベンチャー……でしたが、もう下火になってますねw
まとめ記事をすっかり忘れていました。流行り廃りがあるので難しいテーマではありますが、バイオ医療は今後10年の有望市場。またそのうちブームが来ると考えて、銘柄を探してみましょう。
前記事はこちらからどうぞ。
ちょっと詳しめの銘柄リストだと思っていただければ幸いです。無駄に長いので注意。
目次(クリックで飛びます)
米国ではいよいよ研究から利益を生む産業に変化、日本でも……
ブレイクスルー・セラピー(breakthrough therapy=画期的新薬)認定により承認フローが短縮化されるという、制度面での後押しがあったことは、以前の記事で書いた通りです。
もちろん世界的な流れに遅れを取るわけにはいかないと、日本でも承認フローが短縮化されてきています(ドラックラグの解消)。
約10年前までは新有効成分含有医薬品(新薬)の承認までの日米間のラグは約2.5年であった。国は、試験活性化計画をはじめ医薬品医療機器総合機構(PMDA)の体制強化、臨床研究中核病院の整備、医療上の必要性の高い医薬品の開発要請などを図ることによって平成24年度には、審査ラグはほぼ解消し、申請ラグは0.3年になったと報告している。
むしろ薬よりも優先的に審査される優先審査バウチャーのほうが高騰している勢い。
※米食品医薬品局FDA発行の優先的に新薬の審査が受けられるインセンティブ制度。バウチャーの価値は300億とも言われるそうです。
とりあえず、日本も新薬開発競争で戦う土壌は一応整えたということを理解しておけばOKです。
米国と比較した日本のバイオベンチャーの強み
日本も技術力ではそんなに遅れているとは思わないのですが、こういった新規事業は米国に一日の長があり、事実、米国のバイオ産業はエイズ・がんといった難病治療に画期的な成果を上げてきました。ギリアド・サイエンシズやアムジェンなどがいい例ですね。
経済産業省による日米比較のレポートがあったので、一緒に載せておきます。
日本の強みは国を挙げてのiPS事業
日本の強みは山中伸弥教授がノーベル賞を受賞したような、iPS細胞(再生医療)の分野でしょう。全体的に新薬開発競争に出遅れ感のある日本は、iPS細胞での巻き返しを図っています。
政府の後押し
予算面と制度面で政府の後押しがあります。
なにせ2050年には38兆円の巨大市場、経済産業省は現時点でも副作用の少ない新薬開発によって医療費を年間で2,400億円削減可能と試算。
内閣府は政府研究開発投資のトップに再生医療を持ってきて、課題をまとめています。
先ほどの経済産業省のレポートを見ても分かる通り、かなり米国のバイオベンチャー支援モデルを意識していますよね。バイオベンチャーは民間企業(大手製薬会社)、政府からの投資あるいは市場からの資金調達がないと成功は難しく、予算面での支援体制強化は必須です。
また、上のドラッグラグで見たような対策として、早期承認制度があります。特に国策として、再生医療や遺伝子治療薬は適用対象がなります(この制度により世界で一番早く販売に繋がる国になりました)。
また、7/30付けの記事で、こんなのも見つけました。いい流れです。
厚労省はベンチャー支援を強化するため、特許など知財を保有する会社の減税▽研究開発を高く評価する薬価制度▽薬の審査の迅速化、などの導入を検討する。規制部門の職員らをベンチャーや金融機関に出向させ、人材やノウハウの交流も進める。
今後、認知症医薬が日本から出ないかな……
また、日本は世界に先駆けて高齢社会に突入することから、世界で最も認知症患者の多い国です。需要があるということは、事業を成長させる環境にあるということ。高齢化時代の新薬が日本から出てこないかな~と期待しています。
国民皆保険制度
オバマケアで米国にもできちゃいましたが、日本では長らく国民皆保険制度があるため、高額医療も受けられるメリットがあります。つまり、潜在ニーズをちゃんと掬えるということです。
世界で患者何名~みたいなことをあちこちに書いてますが、海外だとお金持ちしか受診出来ずという可能性もあるので、その点日本市場は優れていると考えています。
問題点は薬価改定制度
日本の場合、せっかく開発した新薬も2年ごとあるいは一定売上ごとに薬価見直しが入り、引き下げされてしまいます。10年かけて開発した新薬ですが、初年度を超えると年々収益が落ちていくのです。
米国がPBM(薬剤給付管理:CVSヘルスなど)との薬価交渉で年々上昇傾向にあるものとは対照的です。
バイオ株の動き特徴、売買の戦略
将来性は実際のところ分からん
あれやこれや考えてもですね、結局どれが当たってどれが外れるか、分からないんですよ。つまり、安いところで拾って上がればラッキー、くらいで買う必要があります。
そもそも臨床試験を経た新薬が実際に販売される確率って、10%程度です。10年かけてもビジネスとして実を結ぶのは1割……だからバイオベンチャーはパイプラインの数を重視するんですよね。
もちろん買うにあたっては色々調べますが、損失を抑えながら数を打ってどこかで当てる、いつもの手法を使うわけです。
ポイントは基盤技術と提携先。せめてここだけはしっかり見ましょう。
提携先ですが、マイルストーン収入契約とかロイヤリティ収入、共同開発等ですね。資金が枯渇すると何も出来ないバイオベンチャーは、大手と提携していると安心感が強くなります。
赤字は当たり前ではなくなってきている
特にバイオ株は赤字だったり収益ゼロみたいな会社がゴロゴロしています。でもそれでいいとは思わないでください。徐々に黒字化に成功しつつあるバイオベンチャーが増えてきています。
いちよし経済研究所の試算では、創薬バイオベンチャー13銘柄の平均利益は、16年度まで赤字、17年度には黒字化すると見込んでいるらしいです。収穫の時期に来たということでしょうか。
外部環境は無視していい
市況が悪くてもバイオ株だけは好調なんてのもザラにあります。海外提携はあるものの、ほとんど為替の動きに影響されない銘柄なので、円安局面では他のテーマ株に譲ることも多いですね。
元の売上が低い(赤字も多い)のと、当たった時の反動が大きいのとで、テーマ株の中でも際立った動きをします。値動きも激しいです。
バイオ株が上がるのは二つの段階
以下、主に創薬ベンチャーとして話をします。
※創薬ベンチャー以外も悪くはないのですが、株価の爆発力に欠けます。リスクを取って(中身がよく分からない)バイオ株を狙うなら、リターンも大きい創薬ベンチャーを選んだほうがよいと考えます。
段階1:ニュース・期待先行で上がる
まあどのテーマ株も同じですが、勢いで上がっていく段階。バイオ株は定期的に株が上がるイベント(ニュース)があり、有望そうな新薬パイプラインが次のフェーズに移ったとか、どこか大手とマイルストーン収入契約を締結したとかのニュースに反応して、ぐいんと上がりますので。
他のバイオ株が物色されていると、やがて割高感が出た時に隣の銘柄に興味が移ることがよくあるので、勢いに乗りやすい銘柄という印象もあります。なので、ゲーム株とか好きな人は結構向いているかも。両方を得意テーマにしている人、多いですよね。
段階2:ビジネスの実益が評価される
これはもう少し大きな会社に成長している頃です。既に一定の評価はされていますが、長年の研究開発費用を回収する段階で、当然ながら適用対象者が多くて優秀な新薬ほどビジネスとしても右肩上がりに伸びていきます。
それぞれの戦略を
段階1では、いいニュースに反応して一気に上がったと思ったら、翌日にはほとんど全戻しして終わりなんてのも珍しくないです。直近高値抜けたら一旦売る、という戦略の方が良かったりします(たぶん)。
段階2狙いはテンバガーの夢があります。でも相当の度胸と握力を試されますね。最近のバイオベンチャーも段々とこちらの段階に移りつつあると思うので、そろそろ目も変わって来るのでは? と思っています。
それじゃあ日本のバイオ銘柄探してみよう~
前置きが長くなりました。それじゃあ日本のバイオ株、探してみましょう。創薬ベンチャー中心で、富士フィルムとかアステラス製薬とかエーザイみたいな有名ドコロはほぼ入れていません。
なんか分類してるけど適当なので注意。ちょこちょこコメントとかメモ書き程度の内容が書かれてますが、思いっきり間違ってたらご指摘いただけると幸いですm(_ _)m
すでに有名/個人的にイチオシのバイオ銘柄
そーせいグループ(4565)
この10年で日本株最大となる、実に231倍という驚異的な株価上昇を見せたバイオ株ブームの火付け役。この1年だけでも株価は7倍に跳ね上がり、連日そーせい長者が生まれる事態になりました。
成長の原動力は海外のベンチャー企業買収で、日英ニ拠点体制を維持するそーせいは、特に英国のヘプタレス社買収(428億円)が大成功を収めています。海外のパイプが強いベンチャーのため、同社買収後もファイザー、アラガン(アメリカ)といった企業との提携によるマイルストーン収入契約が生まれており、最大1兆円弱程度の収入が生まれる見込み。
加えて、既に収入源を持っていて黒字化している点も非常に好ましいですね。技術があり、提携先も海外含め多彩と、バイオ銘柄の中でも将来性が突出しています。そりゃ上がりますわ。
塩野義製薬(4507)
塩野義製薬はインフルエンザ医薬品の開発をしています。
下の方にインフルエンザをまとめていますが、ウイルスを細胞外に出さない働きをするタミフルやリレンザとは違い、塩野義製薬が開発している新薬は、ウイルスを細胞の中で死滅させる働きをします(アビガンと同じ)。このため、わずか1回の服用、1日で治療が出来る画期的な新薬になっています。
実用化目処は2018年(優先承認制度対象)です。アビガンの二の舞もあり得るところですが、日本で1000万人、世界で毎年数億人が感染するインフルエンザという超巨大市場、豚インフルエンザや鳥インフルエンザ等の新たな脅威を考えると、成功した暁には莫大なリターンが生まれることに疑いの余地はありません。
ユーグレナ(2931)
バイオベンチャーというかサイエンスベンチャーというか、儲からないと言われる科学でビジネスを興し、ミドリムシで一躍有名になったユーグレナ。
ミドリムシは人間に必要とされる栄養素をほとんど作れることから健康食品として利用出来る他、バイオ燃料として再生可能エネルギーにもなります。
バイオ燃料のほうが市場のパイが大きいでしょうか。でもドイツのVWがクリーンディーゼル車の不正をやらかしましたし、ディーゼル車がこれから増えていかないと中々使いどころがないのかな? という気がしないでもないです。面白いビジネスだと思いますけどね。
小野薬品工業(4528)
新薬「オプジーボ」の実用化により爆発的に吹き上がった小野薬品工業。
オプジーボは米ブリストル・マイヤーズスクイブと共同開発したガンの治療薬ですね。従来のガン治療薬ががん細胞に直接作用して進行を阻止していたのに対して、オプジーボは人の体内にある免疫細胞に作用し、免疫細胞にがん細胞を攻撃させる仕組みを持っています。つまりどんながん細胞相手だろうと通用する上、副作用が出ないんですね。
ガン治療の基準となり得る治療薬でありながら同種の技術を持っている企業が他になく、少なくとも他社から対抗新薬が出るまでの数年間、完全なブルーオーシャンを泳ぐ小野薬品工業のうなぎ登りは続くでしょう。
時価総額は3兆円に達するとも試算されていて、これは日本最大の製薬会社である武田薬品工業が時価総額3.6兆円と考えると、それに匹敵するレベルということになります。
アキュセラ・インク(4589)買っちゃダメだよw
バイオ株の恐ろしさの象徴ですね。見てくださいこの値動き。
このアキュセラ・インク、「飲むサングラス」と呼ばれる網膜疾患の新薬を開発する、ちょっと前までは非常に有望視されていたバイオベンチャーだったんですが……新薬の臨床試験に失敗し、連日続落。おまけにインサイダー取引の疑いまでかけられています。
パイプラインもない、終わった企業に未だ値がついていること自体不思議なくらい。このリスクを認識した上で売買しましょう。
オンコリスバイオファーマ(4588)
オンコリスバイオファーマ(4588)-Yahoo!ファイナンス
これだけ詳しく個別記事にしていたので、こちらをご参照。
トランスジェニック(2342)
開発用マウス「トランスジェニックマウス」の作製。連結で黒字化達成。
新薬開発においては、新薬の安全性や効果を見るため、まずはマウスなどの小さい動物に臨床試験をするわけです。それをクリアした後、より大きな動物、そして人間へと段階を踏んでいきます。
トランスジェニックマウスは遺伝子を改変したマウスで、特定の試験に対する効果を明らかに出来るものです(例えば特定のDNAを破壊して免疫力をなくしたマウスに投薬する等)。もちろん実験内容によって受注生産となるため、トランスジェニックマウス作製には精緻な技術が要求されます。
トランスジェニックの優位性は、認知症用のマウス製造技術を独占している点です。なので結構期待しているのですが、動物虐待とか別方面の声が心配かも……。
メディシノバ・インク(4875)
個人的に期待しているのがメディシノバ。8本のパイプライン(フェーズ3多)と10本程度の新薬候補を持っていて、そのうち米FDAのオーファンドラッグ(希少疾患用医薬品)指定が2件、ファストトラック(優先承認審査制度)指定が4件もあります。バウチャーチケット一枚300億円と前の記事で話しましたが、バイオベンチャーでこれは突出した数字です。
具体的に中身を見ていくと、多発性硬化症(MS)は特に期待感高いっぽいですね。赤字が続いていますが負債はなし、米国上場していて提携先も豊富と好材料ばかりだと思うのですが、中々1000円の壁を超えないんですよね。
ペプチドリーム(4587)
バイオ医薬の次と言われる特殊ペプチド医薬を手掛ける会社です。国内外の大手製薬会社と38件もの共同開発案件を持っていて技術十分。しかも6期連続黒字。ビジネス基盤は非常に安定している印象です。
ペプチドとは、人間の体内で分泌されるアミノ酸の結合体のこと(よく分からないw)。ペプチドの強みとしては、体内にある物質を使うために副作用が少ないことにあります。
ま、ものとしては昔からあったものの、アミノ酸ゆえに病原に到達する前に分解されてしまう等の技術的な壁が高く、実用化困難と思われていました。それを克服したのがペプチドリームの技法により生成された特殊ペプチドですね。抗体より小さいから通過出来るみたいです。ペプチドリームは特許技術
ペプチド医薬品の社会的意義を読めば分かる通り、医薬品は低分子医薬と抗体医薬で成り立つ現在の医薬品に一つ大きな市場が加わるイメージが出来るでしょうか。ペプチドリームは特殊ペプチドの生成技術を特許で固めていますので、ペプチド医薬市場の成長はそのままペプチドリームの成長になるわけです。
グリーンペプタイド(4594)
同じくペプチド医薬品を開発するグリーンペプタイドも要注目。こちらはがん細胞に働きかけるペプチドです。
具体的には、がん細胞の持つペプチドと同じペプチドを生成し体内に注入することで、ペプチドと一緒にがん細胞も攻撃させるという仕組みらしい……。富士フィルムと共同開発した前立腺がんペプチドワクチンがフェーズ3の最終段階にあり、期待しています。
タカラバイオ(4974)
売上は右肩上がりの営業黒字で安定的、オススメに置いていい有望銘柄だと思います。
遺伝子工学技術に優れたタカラバイオは、山中伸弥教授のいる京都大学iPS細胞研究所にiPS細胞作製に必要なDNAを供給しています。
まだ第二フェーズですが、がん細胞だけを攻撃するウイルスを利用したワクチン「HF10」への期待が非常に大きいです。CAR-T細胞療法というガンの免疫遺伝子治療でも、先頭に立って研究開発を進めており、充実感が伺えます。
ジーンテクノサイエンス(4584)
ジーンテクノサイエンス(4584)-Yahoo!ファイナンス
ノーリツ鋼機の傘下で、日本で唯一バイオシミラーと呼ばれる事業を展開。
バイオシミラーとはバイオ医薬品の後発品のことで、要するにジェネリック医薬品です。ただ、低分子化合物のジェネリック医薬品と比べて、バイオ医薬品は高分子のため、同じものを作るのは難しいという違いがあります(だからシミラー=類似品という)。
一消費者としては是非頑張ってもらい、医薬品の高騰を抑えてほしいところですが。
iPS・再生医療関係のバイオ銘柄
リプロセル(4978)
リプロセルはiPS細胞を主軸としたビジネスを手掛ける企業で、要注目です。
安いので仕込むのはありだなと前々から注目しているのですが、ここね、毎度決算で下方修正出してるんですよね。今年は黒字→やっぱ赤でしたを何度見たことか。そろそろ本当に黒字化してほしいところ。是非ともiPS銘柄を牽引していってもらいたいですね。
ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(7774)
ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(7774)-Yahoo!ファイナンス
富士フィルム傘下でiPS細胞関連企業最メジャーの一角。理由は既に再生医療の製品化に成功しているためです(しかも2つも!)。コア技術を有して製品化しているというのは絶対に強い。
再生医療の中では美容系で使われるのでしょうか。製造しているのは自家培養の表皮、軟骨、角膜上皮です。整形外科が乱立していることから察せられる通り美容業界は成長著しいので、目のつけどころは良い気がします。生命に関わる分野よりも競争少なさそうですし(違ったらごめんなさい)。
→用途は火傷の治療とのことです。コメントご指摘ありがとうございます!
セルシード(7776)
医療用細胞シートの開発を手掛けています。まだまだ赤字続きですね。
細胞シートとは、1個1個の細胞を接着・凝集化させて、シート状に組織構築(細胞間接着や組織構造を再建)させた細胞集合体です。 細胞シートは移植時の生着に優れ、再生医療技術の1つとして注目されています。
出典:http://www.med.nagasaki-u.ac.jp/surgery2/research/saisei-iryo.html
肝心のセルシードについてはあまり情報が集まりませんでした。
サンバイオ(4592)
ここ、上の特におすすめリストの載せてもいいですね。
厳密には再生医療ではなく細胞医療と言う分野の企業らしいのですが、要は自分の細胞をそのまま使う再生医療に対して、健康な他人の細胞を使う細胞医療と理解すればOKです。
サンバイオはこの細胞医療分野でトップを走るベンチャーで、米国にて脳梗塞の治療薬を開発中。後遺症の治療も出来るみたいで、上手く実用化に漕ぎ着ければ年間1兆円規模の売上を見込んでいます(サンバイオはロイヤリティ収入分で、そのうちの二桁%くらいかな)。
ヘリオス(4593)
加齢黄斑変性治療薬(眼科再生医療)を開発中。
世界で2300万人(日本で900万人)の患者がいるにもかかわらず、現在の治療薬はVEGF阻害剤ただひとつ。しかもVEGF阻害剤は数か月おきに注射を繰り返す必要があり、患者にも大きく負担がかかってしまいます。一方でヘリオスの開発する新薬は一回の注射でOKです。
VEGFの市場規模が年間8000億円ほど、ここに割って入ることが出来れば最低数千億円の売上は期待出来るのかなと思われます。競合もいないブルーオーシャンですし。
ゲノム解析、遺伝子医療関連バイオ銘柄
遺伝子系って上場してから結構長くやっている会社が多いです。ゲノム解析が終わったのが2003年ですから、それなりに年月は経っているわけですね。
遺伝子を調べて予め自分がかかりやすい病気を知り、予防医療へと繋げる大切な役割があります。でも日本の遺伝子医療ビジネスってそんなに強くない感じが……。
プレシジョン・システム・サイエンス(7707)
プレシジョンシステムサイエンス(7707)-Yahoo!ファイナンス
独自のDNA抽出技術を持っており、遺伝子解析事業を展開しています。
でもYahooファイナンスによると免疫測定などのOEMビジネスが柱らしいので、創薬ベンチャーというより医療機器に分類したほうが良かったかも。他と違って為替の影響を受ける会社です。
遺伝子検査が国策と言われているんですかね? まあ確かにPSSが取り扱っているDNA自動検査装置って、今後予防医療と組み合わせて各病院に配置されれば爆益ですけども。
DNAチップ研究所(2397)
名前の通り、DNAチップによる遺伝子受託解析が主力事業。HPによると、診断ツール開発による予防医療の促進を企業方針としているみたい。あんまり情報が集まりませんね……。
アンジェスMG(4563)
世界初の遺伝子治療薬開発! とかで結構有力な遺伝子医療関連銘柄として出てきますが、増資と分割連発しすぎでは……。
16/8/5現在、継続企業注記銘柄対象。
ジーエヌアイグループ(2160)
遺伝子ネットワーク技術を活用した創薬ベンチャー。
研究開発拠点が中国、社長も中国系、開発医薬品はアジア特有疾患という珍しさ。でも保険未適用地域のような気がしますが、ビジネスとして成り立つんでしょうか。社長が日本語出来ないのは大丈夫なの?
メディビックグループ(2369)
グルフォスファミドという抗がん剤の開発。また、遺伝子解析等の創薬支援、健康管理事業、コンサル業もやっています。調べたら大株主が頻繁に交代してるって出てたけど、どうなの。
16/8/5現在、継続企業注記銘柄対象。
ガン関連新薬開発中のバイオ銘柄
医療と一口に言っても様々な分野がありますが、中でも死因一位のガンは市場のパイも大きく、一発当たれば跳ね上がること間違いなしです(小野薬品工業のオプジーボが期待されているのもこれ)。もちろん承認ハードルも高く競争も厳しいのですが、特に注目に値する銘柄区分だと思います。
ナノキャリア(4571)
96年創立の老舗ベンチャーで、ガン領域に特化。
「ミセル化ナノ粒子」がナノメートルレベルの極小粒の中に薬を包んで患部であるがん細胞に直接届けるため、他の器官へ薬が散らず、副作用が少ないことがメリットです。
日米同時で治験中でパイプラインも多め、注目度も高い銘柄です。
メディネット(2370)
再生・細胞医療研究の一つである免疫細胞療法の先頭を走るメディネットは、免疫細胞の技術を複数保有し、特にガンの免疫細胞療法で実力を発揮しています。
免疫細胞療法は自由診療扱いで保険適用外らしく、1回150万という高額医療費の壁をどうするかでしょうか。
テラ(2191)
メディネットと同じく東大医科研発のバイオベンチャーで、がん免疫細胞療法に強み。コメント一緒のため割愛。
オンコセラピー・サイエンス(4564)
オンコセラピー・サイエンス(4564)-Yahoo!ファイナンス
がん治療ワクチンが主軸みたいですが、現時点では売上ゼロ。
パイプラインとかそんなに悪そうにも見えませんが、株価の反応も芳しくないのは、実益を出せるかという観点で投資家が見るようになってきた証拠だと思います。ビジネス的にはこれ以上悪くなりようがないので、IRで吹き上がることを期待して安く仕込む戦術も。
カルナバイオサイエンス(4572)
カルナバイオサイエンス(4572)-Yahoo!ファイナンス
ガンの原因の一つである「キナーゼ」を抑える技術に特化したベンチャーで、同じくガンの新薬オプジーボを開発中の小野薬品工業と大規模な支援契約を結んでいます。このため、小野薬品工業と株価が連動しやすくなっています。また、この技術から発見した新薬候補をジョンソン&ジョンソンに導出している模様。
シンバイオ製薬(4582)
ここも低迷中ですね。パイプラインはフェーズ3も多く揃っていますし、うち一つは製品化しています。しかし、HPにも書いてあるように「マーケットは相対的に小規模でも医療ニーズが高い」分野の製品が主体のため、ビジネス的な旨味が小さいのかなーと。勝手な解釈ですが。
安いしフェーズ3も多いので、IR利確目当てで仕込むのはありかもしれませんけどね。
インフルエンザ薬(ワクチン、抗ウイルス薬)関連バイオ銘柄
強力な感染力を有し、冬に猛威を奮うインフルエンザ。抗ウイルス薬を作ってもすぐに耐性を獲得してしまうので、毎年流行が止まりません。肺炎を併発して重症化するリスクも高く、対策は欠かせないですね。だいたいワクチンを事前に打っておくと感染を防ぐ、あるいは感染したとしても軽微な症状で済むようになります。
特に最近では豚インフルエンザ、鳥インフルエンザも出てきており、特効薬の開発に期待がかけられています。
以下によく聞く抗インフルエンザ薬を並べました。どうもウイルスの増殖を抑制するのではなく、ウイルスを細胞の外に出さなくするみたいです。
ザナミビル(リレンザ):吸入薬(グラクソ・スミスクライン)
オセルタミビル(タミフル):経口薬(ロシュ/中外製薬)
ペラミビル(ラピアクタ):注射薬(バイオクリスト開発、日本では塩野義製薬がライセンス生産)
ラニナミビル(イナビル):吸入薬(第一三共)
出典:Wikipedia
※対して、富士フィルム(富山化学工業)が開発したアビガンはウイルスの増殖を抑制します。しかし、臨床試験で胎児に対する催奇形性の可能性を指摘されたため、鳥インフルエンザ等の大流行時しか製造販売が出来なくなってしまいました。
あとは開発中の新薬として塩野義製薬の抗インフルエンザ薬が一つありますね。
UMNファーマ(4585)
インフルエンザワクチンをアステラス製薬と共同開発。
昆虫の細胞を使った技術らしく、ワクチンの製造期間を従来の半分以下(3か月程度)に縮められる点もポイント。既に14年にアステラス製薬から申請済みですが、未だ承認待ちの状況。もちろん承認されれば巨額のロイヤリティが発生することは言うまでもありません。
巨大工場を持っていて受託生産を引き受けられるところも、他のバイオベンチャーにはない差別化点。
カイオム・バイオサイエンス(4583)
カイオム・バイオサイエンス(4583)-Yahoo!ファイナンス
理研発の創薬ベンチャー。
独自の抗体作製技術を持っていて、通常半年程度かかる抗インフルエンザ薬を1週間程度で作ることが可能らしいです。新薬ではありませんが、新型インフルエンザの流行等で抗インフルエンザ薬(タミフル等)の大量生産が必要になった際、本領発揮となりそうです。
その他有望そうなバイオ銘柄
JCRファーマ(4552)
チャートが景気いい。
ちょっと調べて、薬を脳内に直接到達させる世界初の新技術開発……って結構すごくね?
認知症とかなんかで使えるんじゃないかと勝手に妄想を広げたわけですが、どうなんでしょう。そこそこ注目してもいいかもしれない。
ラクオリア創薬(4579)
ファイザー日本法人の中央研究所が独立して出来たラクオリア創薬。新規開発化合物の導出が軸で、継続して年2つの新規開発化合物を創出しています。
アールテック・ウエノ(4573)
結構有望っぽいところでしたが、米製薬スキャンポ・ファーマシューティカルズに買収され、上場廃止になっていました。
スリ ー・ディー・マトリックス(7777)
銘柄コードが縁起良くて素晴らしい。ペプチドの製造がメインでしょうか。
メドレックス(4586)
なんとタイムリーなことに、この記事を書いてる途中で四季報の「大化け”創薬ベンチャー”を探せ!」が更新され、メドレックスの記事が追加されました。
痛み止めから認知症まで! 経皮吸収の新薬開発するメドレックス(上)
読ませて頂きましたが、すごくいい記事ですね。オキシコドンはアメリカで一番使われている鎮痛剤で経皮吸収剤の需要も非常に大きくなりそう。そう考えると安値ですね。
デ・ウエスタン・セラピテクス研究所(4576)
緑内障の治療薬ですね。一つ製品化に成功していますが売上が縮小しているので、パイは小さいのかも。
ちょっと前の話題で治験が上手くいってないみたいな内容が見えたんですが、どうなったんでしょうか。流石に疲れてきたので調べる気になれませんでした。ごめんなさい。
な、長っw
日本株の中でもヘルスケアや医療機器、大手製薬会社等は次回以降どこかでまとめて見たいと思います。