こんにちは。今回はロボットビジネスの株を見ていきたいと思います。過去の記事は以下からどうぞ。
ちなみに、ロボットは日本が強い分野ということで、日本株だけを見る予定です(ベンチャーなんてどこが浮上するか分かりませんしね……)。一応、アメリカの技術企業リストは下のリンク先が充実の内容ですので、もし海外への投資を考える場合、参考になるかと思います。(何度か貼っていたランドスケープの図です)。
Marketing Technology Landscape Supergraphic (2016)
目次(クリックで飛びます)
産業ロボット、サービスロボット関連銘柄
前回記事で分類しておきながらアレですが、気になったところを上位に載せる関係上、ロボットの区分は順不同でお願いしますw
CYBERDYNE(7779)
筑波大発のベンチャーで、ロボットスーツ「HAL」を開発してます。これは身体に装着するタイプのロボットで、医療や介護事業(筋力低下した人の歩行を助ける)を中心に活用されています。世界初の下肢用のロボット治療機器で、欧州では保険適用、日本でも医療機器として承認が下りるようです。
介護事業は今後の成長見込みが大きい上、ロボットスーツは重作業やエンタメでも展開が可能だと考えられますので、有望な投資先だと考えています。
※赤字についてはライフサイクル、ハイプ・サイクル的にも今の段階で気にするものではないです。でも段々と期待で上がるフェーズから投資回収フェーズに移りつつあるので、そろそろシェアは見ていきたいと思っています。
ちなみにシトロンからこんなレポートも出ています。ここは有名な情報誌で編集長が空売り屋なのですが、影響力大きいから困ったもの。このレポートが出て25%以上下落しました。
全部鵜呑みにする必要はありませんが、技術力の優位性に疑問符はつけられているということですね。サービスロボット領域は米国のパーカーハネフィンや日本のパナソニックが販売実績で先行しており、こうした競合に対して市場シェアを取れるかどうかは分かりません。
つーかこれ、風説の流布ってやつですよね。
セック(3741)
宇宙ビジネス関連銘柄でも取り上げました。自動運転車関連銘柄として一番有名かもしれないですね。
リアルタイム技術に強く、ロボットソフトウェアの研究開発を進めています。ロボットに関連したソフトウェアを強みにする企業は現時点でほとんどなく、
HPの実績を見ると、「RTMSafety」という機能安全対応RTミドルウェアが、世界初の機能安全の国際規格IEC 61508認証を取得したロボット用ミドルウェアらしいですね。特に今後伸びるであろうサービスロボットにおいては高い安全性の担保が求められるので、目立った先行事例を持っている注目銘柄です。
菊池製作所(3444)
元々金型やプレス加工などの製造を行う企業。サイバーダイン同様の装着型ロボット「マッスルスーツ」の製品化に成功し、こちらもロボット関連銘柄としてよく取り上げられます。
ずっと赤字の中、補助金を財源としているというのはどうなんでしょうね。競合という意味ではサイバーダインと置かれている状況は同じだと思います。
川田テクノロジーズ(3443)
川田テクノロジーズは双腕ロボット(NEXTAGE)、二足歩行ロボット(HRP)を研究開発。前者は次世代の産業ロボットとして汎用性高いニーズに応え、後者は自力で起立可能なヒューマノイドロボットです。
ハーモニック・ドライブ・システム(6324)
ハーモニック・ドライブ・システムズ(6324)-Yahoo!ファイナンス
サイバーダインのロボットスーツHALに採用されたことからその関連銘柄とも言われますが、元々NASA火星探査機でも利用され、産業用ロボットにも広く使われる精密減速機の ハーモニックドライブや、遊星減速機のアキュドライブ等の精密位置決め用の減速機といった技術力高い部品製造を行っています。
ハードウェアビジネスは載せる数が多くなればなるほど収益が上がっていく仕組みですので、特化した技術のある企業には追い風です。
インターアクション(7725)
センサー銘柄だったかも。
画像センサー(C-MOS)などに欠かせない検査用光原装置のシェアで世界首位。画像センサーの発達はスマホ以外にも自動運転車、ロボットと多数の分野に応用が効く上に、インターアクションは主要取引先がソニーなのでこの分野に強いです。
鈴茂器工(6405)
知る人ぞ知る優良企業で、寿司ロボットなどの製造販売を手掛けています。
これぞニッチ市場のナンバーワン企業という感じで、低い利益率の中でもがく外食産業を尻目に二桁の営業利益率を誇っています。他にもシャリ弁ロボや超小型包装寿司ロボットを開発しています。海外の和食ブーム、格安の寿司チェーン店の展開など需要が大きく、増収増益です。
下の本でも紹介されていました。
ナブテスコ(6268)
ナブテスコは産業ロボット用精密減速機で世界シェア6割を獲得している企業です。
3Dプリンタの項目でも出てきましたね。ナブテスコの子会社シーメットが3Dプリンタメーカー(光造形装置)です。
医療向けロボット関連銘柄
主に手術向けの医療ロボットですが、この分野では日本は大きく出遅れている模様。米国インテュイティブ・サージカル社(ISRG)の「ダヴィンチ」が世界で圧倒的シェアを誇り、なおも拡大中です。
前にビッグデータやAIのページで、法律だったり農業だったりの専門知識、長年の経験が必要になる分野において、データ化することにより技術継承が可能になるという話をしましたが、医療という分野も例外ではありませんね。
介護と並んで需要増加が見込まれる医療向けのロボットも、どんどん技術革新が起きていくものと思われます。日本で言えば以下の3社が医療ロボットの研究開発に着手しているという状況です。
- オリンパス(7733):東京大学と共同で、胸部外科用インテリジェント手術支援ロボット「小型マニピュレーター」を開発。
- ホギメディカル(3593):両手を使うことなく操作できる「内視鏡操作システム」
- シスメックス(6869):株式会社メディカロイドと共同で医療用ロボットの開発。
その他のロボット関連銘柄
- ジグソー(3914):AIによる次世代ロボットデータコントロール。
- ネクスグループ(6634):元々M2Mネットワークに強みがあり、ロボット分野進出。
- アイネス(9742):仏アルデバラン社の人型ロボットNAO、ソフトバンクのPepperのコンサルティング、ソフトウェア開発。
- 今仙電機製作所(7266):シートアジャスタ(調整機構)が主力の独立系自動車部品メーカー。サービスロボット研究。
- ロックオン(3690):AI銘柄で、ロボット研究開発にも着手。
- ヒーハイスト精工(6433):産業機器向け円筒直動ベアリングが主力。ロボット事業としては、早稲田とテムザックが共同開発した「人間搭乗型2足歩行ロボット」に、球面軸受とボールスプラインを提供。
- セントケア(2374):ちばぎん総合研究所と共同で「介護ロボット事業開発研究会」立ち上げ。またクラリオンと提携し、介護ロボットの企画販売を行う「ケアボット株式会社」を設立。
- ベステラ(1433):プラント解体工事に特化し、独自特許複数取得。京大などと3次元点群データを利用した自律解体ロボットの共同研究を進める。
- サンコール(5985):大日本印刷と共同で、リハビリテーション用の歩行補助機器2機種を開発。
日本の大手ロボット関連株
時価総額は大きいですが、ファナックや安川電機は世界トップレベルのロボット開発をしている企業なので、関連銘柄として買う価値は十二分にあると思っています。
- ファナック(6954):世界No.1のシェアを誇る産業ロボットの開発。自動車向けが主力ですが、食品や医薬品など様々な分野において活躍しています。驚異的な営業利益率(16年度は30%以上)、配当性向も高い超優良企業と言えるでしょう。普通に買うと最低でも200万近く必要なので、ミニ株も選択肢に入る? まあそれを置いても今高いですが……。
- 安川電機(6506):産業用ロボットの累計出荷台数は世界一位。アーク溶接を得意とする他、独自制御技術でサーボモーターとインバーターが世界一位。言うまでもなくといった感じの、日本を代表するロボット関連銘柄でしょう。成長性も素晴らしい。
- 不二越 (6474):こちらも世界有数の産業用ロボット。
- ホンダ(7267):世界的にも有名なヒューマノイドロボットASIMOを長年開発。
- ソフトバンク(9984):世界で初めて感情を持ったパーソナルロボット 「Pepper(ペッパー)」を開発。2015年6月から一般向けにも販売。
- キーエンス(6861):ロボットの核であるセンサー製造。
- パナソニック(6752):センサー類も強いですが、サービスロボット(ベッドからの移動をアシストする介護ロボット)開発も手掛けています。
- 川崎重工業(7012):組立・ハンドリング、溶接、塗装、シーリングなど多様なニーズに対応するための産業用ロボットを開発している。
- セイコーエプソン(6724):スカラロボット、垂直6軸ロボット、オプション、コントローラーなど製造販売している。細かな動きで、残留振動が少なく、アーチモーションで目標にダイレクトに移動する。
- デンソー(6902):世界最小クラスの小型ロボットアーム「COBOTTA」