イギリスのEU離脱(Brexit)で、欧州サッカーはどう影響するのか?

サッカー

イギリスのEU離脱が結局決まって大騒ぎになっているわけですが……これは政治経済のみならず、欧州サッカー界にも多大な影響があるようです。

ちなみにBrexitに関連した株の話は以下の記事に書きました。Brexitの契機等はこちらをご参照ください。

イギリスEU離脱(ブレキジット)で買うべき株、ETF 今後の投資戦略
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プレミアリーグを世界一の人気リーグとしている強み

世界中の10億人以上が視聴しているという、最も人気が高いリーグがプレミアリーグです。ではそもそも、プレミアリーグの特徴はというと……

莫大な放映権料を活かした資金力

プレミアリーグは中堅チームでも他国リーグ上位のエース級選手を獲得してきます。それはプレミアリーグの放映権料が桁違いに高いからです。リーグ戦の観客収入やグッズ収入の他に、世界一の放映権料という安定収入基盤があることが、プレミアの強みです。

また、豊富な資金を活かして集めた各国のスターはユニフォーム等のグッズ売上に貢献し、チームは一層収益を上げることになります。

【欧州サッカー放映権事情】圧倒的プレミア勢、最下位クラブがバイエルン超す。合計2位はセリエA、リーガは2強とその他の格差目立つ

放映権において、プレミアリーグは欧州でも他を圧倒する存在となっている。最下位であるQPRの収益7900万ユーロ(約105億円)という数字は、ブンデスリーガの1位であるバイエルン・ミュンヘン(5100万ユーロ)をも凌ぐ。

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(出典:AFP)

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(出典:Forbes)

見ての通り、スポーツとしてはNFLに次ぐ二番目の放映権料、サッカーとしては2位のセリエAにダブルスコアつけて圧倒的です。

ついでに外国人オーナーのチーム買収もプレミアの資金力に拍車をかけています(20チームの約半数が外国人オーナー)。

多国籍軍団

プレミアリーグは主要リーグの中でも「外国人規定」が緩いリーグです。

プレミアリーグの外国人枠

EU加盟国またはEFTA加盟国(アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェー、スイス)の国籍を持つ選手は登録制限がなく、その他の地域も登録人数上限はないという緩い規定。

ただし、EU外選手の場合、労働ビザ取得が条件となっています。この労働ビザが結構厳しい規定となっており、「直近2年間の国際Aマッチに75%以上出場」が条件です(よく特例も認められるので、杓子定規ではありませんが)。

また、11年からのホーム・グロウン制度によって、25人のトップチーム登録人数のうち、英国人を8人以上登録しなければならなくなりました(厳密には国籍は問わずに21歳までに3シーズン以上英国でプレーした選手)。イングランド代表選手の価格が高騰しているのは、ここに理由があります。

その他の四大リーグ外国人枠

  • リーガ・エスパニョーラ:EU加盟国の選手は無制限、EU加盟国以外の選手はベンチ入り・出場ともに3名と最も少ないです。日本の選手は後者に当てはまるため、少ない枠を南米選手等と争うことになり、苦戦しています。清武頑張れ~!
  • ブンデスリーガ:外国人枠という縛りがありません。代わりにドイツ人枠というドイツ国籍を持つ選手12人と契約(うち半数が地元チームによる育成選手)という緩い条件となっており、日本人が複数名所属していることも珍しくありません。流石ドイツ。
  • セリエA:EU加盟国またはEFTA加盟国の選手は無制限、その他は(ちょっと語弊はあるものの)基本的に3人までです。

若手の青田買い

アーセナルのベンゲルとかがよくやってますが、欧州中から若手選手をかき集め、オランダやベルギー等にレンタルして育成しています。

数撃ちゃ当たるで、青田買いしたうち何人かがものになればいいという考えですね。これも確実にプレミアリーグの強さを下支えしています(CLでも強いとは言ってない)。

EU離脱(Brexit)によって、プレミアリーグはどうなるか

イギリスのEU離脱がプレミアリーグやサッカー界に与える5つの影響とは?

ビザ取得は英国以外の全選手が対象→若手獲得に影響

今までEU外国籍の選手のみ労働ビザが問題になっていましたが、なにせイギリス自身がEUを外れたため、このままだとEU加盟国の選手にもビザが必須になります。

各国エースの獲得は問題ないかもしれませんが、代表経験のない若手の青田買いには大きく影響するでしょうね。若手が18歳以下であればどうやっても労働ビザの許可が下りません。

ポンド安で獲得移籍金増→選手獲得に影響

まず信用が落ちるであろうポンド安によって、他国リーグから選手(または監督)を獲得する場合、これまで以上に高い移籍金がかかることになりそうです。逆にプレミアから他国へ選手を売る場合は安くなりますので、獲得競争に負ける→スターが集まらない悪循環が予想されます。

自国通貨安で輸入品(選手や監督)の値段が上がり、輸出品の値段は下がります。以下の記事ご参考。

投資で稼ぐために景気、金利、物価、為替と株価の関係をまとめてみた。

放映権料や資金力は当面変わらないものの……

ポンド安、政治経済の混乱等の悪影響はあれど、プレミアリーグを支える圧倒的な放映権料に「ただちに」影響を与えるものではないと思います。

ただ、現在主力となっている欧州(EU)選手の何割かはビザ取得に問題があるでしょうし、今回のBrexitの発端となった移民問題に絡んで、差別を嫌厭して白人以外の選手がプレミアリーグを離れる可能性もあります(まあ、スペインとかも酷いと聞きますが……)。

規約が変わらない限り、真綿で首を絞められるようにゆっくり衰退しそうな感じがします。

イングランド代表は……

英国選手の出場機会は増えそうですが、リーグ全体のレベルが下がるため、別に強くならない気がします。せっかくベッカムが残留票入れるって言ってたのにね。

実際に離脱する二年後の欧州サッカーはどうなるのか?

勝手な見解。

いよいよドイツの時代では?

今、イタリア・スペイン・ポルトガルでもEU脱退の運動が広がっている模様です。EUの中の債務国、政情不安、高い失業率という南欧諸国では、Brexitの成功(?)を受けて、今後一段と脱退勢力が広がっていくでしょう。

欧州の政治リスク、スペインやイタリアの選挙も

ちなみに、このことを裏付けるものとして、南欧国の国債は売り、北欧及び英国の国債買いが進んでいます。前者がイタリア・スペイン・ポルトガルであり、後者がドイツ・フランス・イギリスです。

……そう、ドイツの時代ですよ。EUの中心国でありサッカー熱のすごいドイツ・ブンデスリーガこそこれから伸びてくると思います。

ブンデスリーガの強み

ブンデスリーガは、今のところプレミアと比べて「地味」という印象を持たれがちです。バイエルン一強リーグですしね。最近は日本の選手が多数挑戦していて馴染み深いリーグとなりましたが、世界的に見るとまだまだ影響力は小さいかと思います。

ですが、上に書いたように外国人枠がなく、環境面が非常に優れていると言われています。

「健全経営」「観客動員」「グローバル化」…隆盛を極めるブンデスリーガのキーマンが明かす成功秘話と新たな挑戦

健全経営を主眼

プレミアとは異なり、ドイツではクラブは地域のものという認識が強いため、外国人オーナーを制限しています。

20年以上クラブを保有していないオーナーは、最高でも49パーセントまでしか保有権を持つことができず、最低でも7名(7社)がオーナーシップを共同保有しなければならない。(50+1ルール)というルールです。

ま、レッドブルの運営するライプツィヒが「悪の帝国」と嫌われているのもこの辺りに理由があります(来季から一部昇格)。でもこういう金満チームがブンデスでも出てきて、強くなりそうですけどね。

【海外の反応】「悪の帝国がやってきた」ブンデスに新たな金満クラブが誕生!RBライプツィヒの一部昇格を決定!

観客数世界一

スタジアムはほぼ毎試合満員。二部の試合でも満員なんですから、ドイツのサッカー熱が本物であると分かりますよね。全スポーツの中でもNFLに次ぐ観客動員数らしいです(NFLもNFLで化け物ですねw)

ブンデスリーガの観客動員は1試合平均約4万3000人で、92パーセントの動員率を誇っています。それには、いくつかの理由があります。様々な社会階層の人に来ていただけるよう、チケットの値段設定を考えていますし、親子で一緒に観戦できるようファミリーゾーンも設けています。ドイツでは人口の75パーセントの人々が、ブンデスリーガを重要なものだと考えており、自分の地域のクラブに対して誇りを持っています。地域の人々にとって、クラブはとても大切な存在なのです。(ザイファート)

(出典:SOCCER KING)

観客動員数の順位はこんな感じ。

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(出典:SPORT.es)

香川の所属するドルトムントが一位。あの黄色い集団、毎度すごいもんな……。

ちなみに世界中のサッカー観客動員数をグラフにするとこんな風になるみたいです。ブンデスリーガ(緑色)の圧倒的な観客動員数が目立ちます。

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(出典:ULTRAZONE)

黒色のJリーグは中国・インドにも負けてるんですね。もうちょい頑張ってほしいけど、ホーム勝率が異様に低いんだよなあ……だいたい陸上競技場と一体で見にくいし。柏みたいな専スタが増えたらいいんですが。

サッカーインフラが最高(最先端テクノロジーを導入した戦術・育成、医療技術)

各国やっていますが、ドイツは特に先進的ですね。

育成においては、ユースアカデミー設立を義務付け、ドイツ人枠と合わせてルールによってリーグ全体で育成を促進。結果として、1億2000万ユーロ(約160億円)程度が投じられているみたいです。

戦術として思いつくのはクロップのゲーゲンプレッシングですが、ここで言っているのはビッグデータを活用した戦術です。昨今ではスポーツにもビッグデータが取り入れられ、今まで「流れ」や「雰囲気」で誤魔化されていた部分にメスが入れられています。

私もサッカーデータを眺めて弄るのが大好きなので、また今度紹介しましょう。

ビッグデータのリアルタイム分析に勝機を見出す、TSG1899ホッフェンハイムとドイツ代表チーム

ドイツ代表がPKに強いことはとても有名ですね(データがあることに加え、ドイツは世界最強のGK輸出国。GKがFWに次いで人気ポジションですので)。

【データで見るW杯】PK戦は先行チームが9連勝中…PK最強国はドイツで勝率は驚異の100%

 日本人は今後もブンデスリーガで活躍して

大昔では奥寺、ちょっと前に高原→長谷部→香川・内田→いっぱいという移籍の成功によって、日本とブンデスのルートが開拓されました。今期には宇佐美がアウクスブルクに移籍し、浅野も同クラブへの移籍が噂されていますね。現日本代表の主力クラスであればだいたい通用しているので、宇佐美には期待。

あとブンデスは22:30(冬は23:30)から始まるので、社会人でもギリギリ見ることが出来るところもポイント高いですよね。

大柄でパワーの強いドイツ人と、小柄でアジリティ・テクニックに優れた日本人は相性も良く、今後も継続的にブンデスで活躍する選手が出てきそうです。もちろん、プレミアに変わって人気が上がってくれば、競争も激しくなると思いますが。


早く新シーズンが始まってほしいものです。

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