短期売買は投機でしょうか?
当ブログには長期投資家の方が多くいらっしゃるので、短期売買をやっている人は少ないかもしれません。
長期=投資、短期=投機(ギャンブル)と認識されている人も多いでしょう。
イメージが悪すぎるので仕方ない部分も多いですが、ちょっと反論してみたいと思います。
長期投資家の皆さんも、自分と異なる考え方にも触れておくと、投資の幅が広がるかもしれません。和波は一応FX歴8年目に入りました。
追記)動画も作りました。見てみてください!
2つのサイコロ
短期売買で勝つ方法を抽象的に言うと、こんな感じじゃないかと思います。
- 優位性がある=期待値がプラスの手法を使って
- 資金管理を徹底して試行回数を稼ぎ、大数の法則に収束させる
- そのために手法を一貫して守り続ける
- でもそのうち手法が通用しなくなる=撤退
これを前提にちょっとした話をしましょう。
以下の例では確率論を書いていて、期待値の話ではないのですが、気にしないでください。
優位性
2つのサイコロがあって、あなたに振ってもらいましょう。
「2つのサイコロの目の和を予想して」と言われたら、確率的に一番高いのは「7」ですね。
組み合わせが最も多いためです。そしてこれが優位性です。
逆に、気分が変わったと考え出して、予想を「6」にしたとします。
6が出る確率は13.9%、優位性はありません。この瞬間にゲームは不確実なものになります。
一貫性
さて、ここで問題は7が出る確率が16.7%だということです。
1回目、外れる可能性高いですよね。83.3%で外れ。
2回目、まだ当たりませんでした。69.38%外れ。
3回目、またダメ。57.8%外れ。
4回目、ダメ。48.1%外れ。
10回連続外れる可能性も16%あります。26回連続で外れると、やっと1%を切ります。
26回連続で外す可能性が1%、別に特別な数字じゃないと思います。
それでもこのゲームにおいて、6や8に比べて7の優位にずっと変わりはありません。26連敗したからと言って、何も変わらない。
26回連続で外れたとしても、次の一回で当たる確率は16.7%だということです。
だからこちらが賭ける対象も一貫してずっと変わらないのです。
逆に何回か外れた程度で答えを変える=優位性のある手法を捨てた瞬間に、ギャンブルになります。
試行回数
試行回数が26回あれば99%は1回以上当てることが出来ます。
50回にすれば成功確率は99.999%まで上昇しますね。ここまで試行回数があれば、概ね確率に収束した結果が得られると思います。
そして、投資をするにあたっては、この試行回数が非常に重要です。期待値を一定にするためには、賭け金(ポジションサイジング)が常に一定でないといけません。
100万円から50%減したら50万円ですが、50万円から50%増加しても75万円にしかなりません。
一回で取り返しのつかない大損をすると、同じ期待値で賭け続けることが出来なくなります。
もちろん最初の一回で大きく稼げれば良いのですが、そんなことをしなくても回数を稼げば自然と資金が残るというのが正しい方法論です。
一発に期待する、これは投資ではなく典型的な投機のやり方です。
再び一貫性
26回連続で外れたとしても、次の一回で当たる確率は16.7%であって99%ではないということに改めて注意しましょう。
これ、書けば当たり前だと思うんですが、投資だとありがちなミスを引き起こしがちです。
確率100%のトレードは基本ありません。いつか失敗するものだし、それを前提で行動しないといけないわけです。
勝率80%の手法があったとして、2連続で失敗するのは4%、確かに少ないです。
しかし、次の一回が失敗する確率は常に20%あるわけで、3連続で失敗する可能性もゼロではありません(0.8%)。
たまたま3連敗した時、「このやり方は通用しなくなった」と考えるのは早計です。
過去の失敗から学ぶことは大切ですが、失敗を学ぶにも試行回数が必要になるのです。
撤退
さて、例えば100回連続で外れたとしましょう。100回連続で外すのはもう途方もなく小さな確率になります。
その時あなたはどう感じるでしょう。
いや、そもそも100回もサイコロを振るでしょうか?
逆に言うと100回耐えられるようにポジションサイジングしているということで、資金効率が非常に悪くなりませんか。
そう、流石にサイコロの細工を疑いますよね。
サイコロ自体を疑うということは、自分の計算していた確率の前提が狂ったということです。
投資で言えば市場の流れが変わったとかで、手法が通じなくなった瞬間です。ここが撤退するタイミングになります。
まとめと言いたいこと
要はサイコロ2つの和を当てるゲームがあったら、こんな感じで勝負をすればいいんです。
- 7と答える=優位性ある手法
- 答えをずっと変えない=一貫性
- 何回もサイコロを振る=試行回数を稼ぐ
- 50回くらい連続で外したらゲームを降りる
さて、長期投資家は株価が年平均7%の利回りで成長し続けてきたことを根拠に、ドルコスト平均法で継続投資をしています。
つまりこういうことですよね。
- 世界経済は右肩上がりに成長していく=優位性
- ドルコスト平均法で定期的に買い続ける=一貫性
- 何十年も続ける=試行回数を稼ぐ
- 基本的に撤退戦略を持たない
で、短期「投資」のやり方はこう書きました。
- 優位性がある=期待値がプラスの手法を使って
- 資金管理を徹底して試行回数を稼ぎ、大数の法則に収束させる
- そのために手法を一貫して守り続ける
- でもそのうち手法が通用しなくなる=撤退
ちょっと似ていませんか?
短期投資と違うのは「優位性」を何にするかというだけで、それ以外はそんなに差がないのだと思っています。
あ、短期「投資」だったらですね。
投機はこのいずれかが欠けているので違います。
何に賭けるかという根拠がチャートだとオカルトチックに感じるかもしれませんが、結局株の上下動を決めているのは需給変動です。
チャートは需給変動を可視化しているだけなので、その中で優位性のあるポイント、タイミングというのは存在します。
むしろそういった市場の歪みは時間軸が短いほど顕著に出ますので、短期ほど優位性にバリエーションがあるわけです。
まあそれは置いといて、長期投資をするとしても、「投資」とは何かというのは押さえておいたほうが良いです。
和波は、時間軸の長短が投資と投機を分けるわけではないと思っています。
優位性が広く知れ渡っている(見つけなくて良い)分だけ長期投資は楽ですが、短期投資は集中投資&高回転率で長期投資より高いリターンを期待出来ます。
逆に短期売買をするならS&P500と同じ10%の平均リターンなんて小さい目標を立ててはダメで、100%200%を目指すべきだと思います。
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ではでは。