どうも、和波です。
個人的には今後の発展としても株価の高騰としても結構期待が高いのではと思っている宇宙ビジネスについて、関連銘柄を探っていきましょう。
前回の記事は下にリンクを貼っておきます。どうして宇宙ビジネスが期待できるのか、さっくりまとめているので、先に読んでもらえると嬉しいです。
目次(クリックで飛びます)
宇宙ビジネス関連銘柄
前記事のように宇宙利用産業(衛星サービス)と宇宙機器産業(衛星製造~打ち上げ)、新たな宇宙産業で分けても良かったのですが、だいたいまたがっているので割愛。
国策でもある宇宙開発事業は民間委託が進み、今後世界的に開発競争が激化することが見込まれています。
カーリットホールディングス(4275)
カーリットホールディングス(4275)-Yahoo!ファイナンス
宇宙ビジネスを考えると個人的にはこれが本命かな。
ここの何が強みかというと、ロケット向け固体推進薬の原料となる過塩素酸アンモニウムを製造する国内唯一のメーカーなのです。なので宇宙利用産業ではなく、宇宙機器産業に分類されますね。
※正確には、過塩素酸アンモニウムと合成ゴム、金属粉などを混錬して成形したコンポジット推進薬(APCP)がロケットエンジンの推進剤に使用されているようです。
要するに、宇宙に飛んでいくロケットが増えれば増えるほど、この会社は儲かるというビジネスモデルですよね。ロケットの製造、発射コストが劇的に下がる今後、海外や民間含めてロケットはどんどん飛んでいくことになると思います。その際に大きな利益を生むのではないかと思っています。
もちろん国内唯一と言っても海外では競合しているのですが、宇宙開発は軍事目的もあって純国産で揃えるという意味合いが割りと強い業界です(特定国の企業に依存しないように)。そうなった場合は完全に独占事業を展開出来ると。
追記:とりあえず購入しています。
日東製網(3524)
ここも個人的には強いなと。本業は漁業・陸上用漁網なんですが、そこで蓄積した技術を活かしてJAXA(宇宙航空研究開発機構)と共同で宇宙ゴミ(スペースデブリ)回収網を開発し、世界的にも注目を集めている企業です。開発には10年かかったそうです。
世界が注目!日本の技術&アイデアで「宇宙のゴミ」を網で大気圏へ落とす
宇宙ゴミというのは、ロケットの部品といったゴミのことです。誰かが回収してくれなければ地球の軌道上をぐるぐる周回し続けることになります。今も年々増え続けている宇宙ゴミで地球が覆われてしまえば、危険すぎて新たなロケットを飛ばせなくなってしまい、結果的に宇宙開発を進められなくなります。
つまりこれも宇宙開発を進めると必然的に需要が増えるビジネスなんですね。ましてこの宇宙ゴミ回収網は非常に高度な技術で製造されており、世界でも同様の実績はありません。
宇宙ゴミ回収には他にもいくつかの方法があるみたいで色々なベンチャーが開発を進めているようですが、日東製網の宇宙ゴミ回収網が採用されれば同社の株は大幅に上昇するかなと思いました。
セック(3741)
リアルタイム技術に強く、宇宙先端システムにおいて各種研究機関向けにアプリの提供・システム開発を行っている企業です。
開発実績が段違いで、以下のようにズラリ。
・ 科学衛星搭載エンベデッドシステム(『ようこう』『あすか』『すざく』『ひので』『ASNARO』)
・ 準天頂衛星測位データ蓄積システム
・ 惑星探査機搭載エンベデッドシステム(『はやぶさ2』『はやぶさ』『あかつき』)
・ 国際宇宙ステーションきぼう日本実験棟関連システム(『MAXI』『SMILES』)
・ 天体望遠鏡制御システム(『すばる望遠鏡』)
・ 宇宙天気データベースWebシステム、宇宙天気予報運用サービス
・ RTミドルウェア各種コンポーネント開発株式会社セックHPより引用
宇宙利用産業としても、宇宙機器産業(ロケット)としても非常に有望な、宇宙ビジネス関連銘柄の本命の一つだと感じました。宇宙ビジネスの期待感が上がるにつれてまず間違いなく最初に反応を示す株だと思うので、常に注意しておきたいところです。ちなみに、IoT、AI、自動運転車というテーマも内包しており腐りにくいと思います(独自技術もあり)。
アイサンテクノロジー(4667)
測量、土木ソフトの開発が事業の軸ですが、高精度位置情報計算技術を活かして、最近は準天頂衛星システムやGPS向けの移動式高精度3次元計測システムMMS(モービルマッピングシステム)を開発しています。
GPSやカーナビ、自動運転車でも活用の目があり、今まで調べた他のテーマでも利活用が見込めそうな銘柄です(おかげで株価が高い)。
コア(2359)
主力ビジネスは車載・スマートデバイス向けのソフト開発。宇宙ビジネスにおいては、JAXAと共同で、精密単独測位方式対応cm級測位受信機の開発を行いました。その名の通りcm単位という高精度の測位技術で、準天頂衛星システムの利活用ビジネスに幅広く活躍が見込まれます。
こういう基幹&独自技術を持っているところは好きなんですよねー。
明星電気(6709)
人工衛星用観測機器、気象・防災観測機器が主力。宇宙ビジネスに主軸を置いた企業のため、テーマ株の投資先としての信頼度は抜群。今安いのも嬉しいところ。
温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」、月周回衛星「かぐや」といった日本の人工衛星に観測機器を提供しています(参考:企業HP)。こうした大型衛星はもちろんのこと、世界的な需要が広がる超小型衛星でも様々な機器を有しているため、事業の幅も広くなっていますね。
株価が100円前後と安いので150円になっただけで1.5倍になるわけですが、主力ビジネスが宇宙関連というのは注目されやすいので、テーマとして注目されればそのくらいは行きそうな気もしますね。一応、直近決算は赤字でした。
日本航空電子工業(6807)
航空・宇宙用電子機器等の製造販売を行う企業で、高精度なジャイロや加速度計を中心として、アビエーションエレクトロニクス技術で優位を持っており、人工衛星やロケットに搭載される慣性誘導装置を開発しています(参考:取り組みレポート)。
パスコ(9232)
航空測量の国内最大手。宇宙ビジネスにおいては、衛星用地上システムの開発を実施。
空間情報の収集と処理技術に優位性を持つパスコは、人工衛星や航空機も利用して空間情報の収集及び分析を行い、それらをGIS(地理情報システム)としてクラウド環境で提供しています。宇宙利用産業としてビジネス拡大余地が非常に広いのではと思います。
神島化学工業(4026)
追記:JAXAが「宇宙太陽光発電(SSPS)」の要素技術について、実証試験成功を発表しています。SSPSの関連銘柄としては神島化学工業が一番有望そうです。
SSPS:スペースソーラーパワーシステム(Space Solar Power Systems)の頭文字を取っており、名前の通り宇宙太陽光を使った発電技術です。
雲の上が常に晴れだと聞いたことがあると思いますが、宇宙に出ればもっと直接太陽エネルギーを集められる! ということで、代替エネルギー源として期待されています。
神島化学工業は同技術の実現に不可欠なレーザー素材を持っており、SSPSが世に認知されたらテーマ化しそうなので追記しました。ちょっとこのところ上がって行っちゃいましたね……。
大手企業
宇宙産業は重工や電機といった大手企業も数多く参入しています。民間委託が進む宇宙ビジネスの現状を踏まえると、彼らが今後の中心プレイヤーになる「本命」に違いありません。
しかしながら、これらの企業の事業ポートフォリオは多岐にわたるため、宇宙産業というテーマによる上昇余地はそこまで大きくならない可能性があります(そもそも、基本的には時価総額の小さい企業の方が大きく上昇するのは当たり前ですね)。
ビジネスとして売上増&収益化する段階はもう少し先のため、今の期待先行狙いで投資するならもっと小さい株のほうが良いと思われます。購入タイミングに気をつけましょう。
IHI(7013)
宇宙開発を主事業として、H-ⅡAロケット、人工衛星部品の開発・製造、宇宙実験棟「きぼう」や国際宇宙ステーションの開発に携わっている、世界的な宇宙ビジネス関連企業です。
特にロケットエンジンの心臓部となるターボポンプやガスジェット装置を押さえているため、これもやはりロケット打ち上げが多ければ多いほど利益があがります。海外進出にも積極的な点も好感。
三菱電機(6503)
総合電機大手。準天頂衛星システムの製造を行っています。準天頂衛星システムについては以下で詳しく見ました。
シンガポール、台湾、トルコなど海外の宇宙開発事業も多数受注しており、注目度も非常に高いです。また、ロケットや人工衛星関連機器の他、大型望遠鏡の開発も行っています。
三菱重工業(7011)
総合重機最大手。ロケットの開発から製造、打上げまでを担う三菱重工のロケット事業:MHI打上げ輸送サービスを事業として実施。
直近で2016年2月17日に日本の基幹ロケット:H-ⅡAロケット30号機の打ち上げに成功しています。ロケットの打ち上げ成功率は世界最高水準となる96.9%と非常に高く、UAEドバイ等の海外からも衛星打ち上げ輸送サービスの受注実績があります(ちなみにULAは100%、SpaceXはもっと低いらしいです)。
日本におけるロケット事業の本命の一つと言えるのではないでしょうか。
NEC(6701)
人工衛星のシステム開発、及び関連製品の製造を行っています。「はやぶさ」、「ひさき」、「あかつき」、「イカロス」、「かぐや」といった日本の人工衛星にはほぼ関わっている模様。
丸紅(8002)
宇宙・航空機ビジネスを行う丸紅エアロスペースの設立や、そこを通じて元ライブドア社長の堀江氏が進めるインターステラテクノロジズ株式会社への出資を行うなど、宇宙ビジネスへの取り組みを強化しています。
その他
- 日本アビオニクス(6946):人工衛星搭載機器などで使用される各種プリント配線板の開発。
- 川崎重工業(7012):総合重機大手。航空宇宙や中型ガスタービンに強み。
- SUBARU(旧富士重工業)(7270):JAXA向け無人機「超音速試験機(D-SEND)」の開発。
- KNT−CTホールディングス(9726):旅行業界2位で、民間宇宙旅行も。
- GSユアサ(6674):JAXAと共同で、人工衛星向け次世代高性能リチウムイオン二次電池(LiB)開発。
- 日油(4403):ロケットの推進剤(固体推進薬)開発・製造。
- アイネット(9600):独立系SI。人工衛星システムの設計・開発/検査・試験/運用・評価解析。
- NTN(6472):ベアリング大手。球面滑り軸受がはやぶさ2で採用。
- イーグル工業(6486):宇宙機器用ガスフィルター、衛星用レギュレーター。
- 栗田工業(6370):国際宇宙ステーション「きぼう」に次世代水再生実証システム搭載。
- アジア航測(9233):航空測量業界3位。衛星システムやコンポーネント設計、衛星の性能試験を実施。
- エー・アンド・デイ(7745):次期基幹ロケットH3用エンジンの燃焼試験設備用計測設備を受注(種子島宇宙センター)。
米国の宇宙ビジネス関連銘柄(米国株)
米国における宇宙ビジネスの担い手は多くが民間企業です。おまけにロケット打上げ数も米国が世界の過半数を占めており、宇宙ビジネス関連銘柄への投資もしやすいはず! ……と思って色々調べたのですが、結構未上場ベンチャーも多くて難しいところでした。SpaceXが未上場なのが痛いですね。
投資先になりうるのは主に軍事・航空産業となりますが、これだと宇宙利用産業にほとんど触れられないので困ったものです。
オービタルATK(OA:Orbital ATK Inc.)
2015年にオービタル・サイエンシズとアライアント・テックシステムズの航空宇宙部門の対等合併により設立。衛星打ち上げや惑星探査機、ミサイル防衛といった各種宇宙ビジネスを手掛けている企業ですね。
国際宇宙ステーションへの貨物輸送を担うシグナス宇宙船も担当しています。これは、米航空宇宙局(NASA)が国際宇宙ステーション(ISS)への物資補給契約を締結したものです(契約は合併前のOrbital Sciences、ちなみにこの補給契約を締結したもう1社がSpaceXです)。
ボーイング(BA)、ロッキード・マーティン(LMT)
ボーイングは言うまでもなく世界一の航空機メーカーで、民間航空機の75%を製造しています。
ロッキード・マーティンも航空機、宇宙船の開発製造を行っていますが、より軍需に特化した企業ですね。
この両社は下のULAで合弁事業を手掛けています。
ユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA、United Launch Alliance)
ロッキード・マーティン社とボーイング社の合弁事業。2006年12月に両社の衛星打上げ部門同士が合体して誕生しました。
アメリカ合衆国連邦政府向けに打上げサービスを提供しており、ロケット打ち上げ成功率100%を誇るそうです。このULA自体は未上場かな。
Google(GOOGL)
Skybox Imagingを買収(500億円)したりスペースXに出資(フィデリティ社と合わせて1000億円強出資し、SpaceXの株式の10%を取得)したり、月探査ロボットコンテストを主催したりと、色々動いているのは間違いありません。
※最後のロボコンですが、日本から唯一参戦している株式会社ispaceの「HAKUTO」が、機動性の部門で受賞したそうです。
未上場
以下は残念ながら現時点で上場しておらず、投資は出来ません。
- SpaceX:テスラ・モーターズのイーロン・マスク氏が手がけるスペースXは宇宙開発の筆頭。4000機の衛星打ち上げや火星移住計画を立てています。曰く、火星にコロニーを作るまでは上場しないとのこと。
- Blue Origin:AmazonのCEOジェフ・ベゾス氏が設立。将来の有人宇宙飛行を目的とした事業を進めています。
- ビゲロー・エアロスペース:ホテルチェーンのオーナー、ロバート・ビゲロー氏による宇宙ホテルの実現。ULAと提携し、居住可能な膨張式の宇宙ステーションを開発、2020年に運営をはじめる計画を立てています。
- パラゴン・スペース・デベロップメント:国際宇宙ステーションやミールへのミッションなど、70を越える宇宙飛行ミッションにハードウェアを提供。ISSへの人員輸送を目的とした商業クルー開発(CCDev)計画採択企業。
- シエラ・ネヴァダ・コーポレーション:航空機・宇宙船の開発製造。ISSへの人員輸送を目的とした商業クルー開発(CCDev)計画採択企業。
- アルマジロ・エアロスペース:宇宙観光旅行を目標として、航空宇宙開発を行う。今は活動休止状態?
米国株は「日本語の記事」で引っかかった企業名(有名企業のみ)を取っ掛かりにして探しただけなので、抜け漏れありそうです。他に面白い企業があったら教えてください。
前回書きましたが、ロケット打ち上げコストが下がれば競合はエアバスみたいな格安航空(LCC)になりますね。それらの株を持っている場合は特にSpaceXの動向はリスクになるので注意が必要です。