さて、今度は3Dプリンタの銘柄をまとめますよ。既に熱狂期を終えたので株価が下がってきていると思ったので。
前回の記事はこちらからどうぞ。
産業用3Dプリンタと家庭用3Dプリンタって価格帯が違うだけで原理は一緒なので、あんまり分けないでまとめようと思います。
大体ですが、「プリンタ本体開発」「3DCAM」「材料」「米国二強の卸売」といったビジネスに分かれていますね。
目次(クリックで飛びます)
3Dプリンタ関連銘柄(日本株)
群栄化学工業(4229)
たぶん一番有力(本命)の一つと思われる3Dプリンタ関連銘柄。
本来は化学メーカーですが、3Dプリンタの材料となる工業用フェノール樹脂(国内トップ級)、鋳造向けに砂型材料開発。経済産業省の次世代3Dプリンタ開発計画の中で鋳型の材料の開発を担当する企業として名前が上がりました。
独自技術、高シェア、財務体質も良好と見た限り結構いい感じですね。ちなみに前回記事で見ましたが、3Dプリンタが大流行したのは13年なので関連銘柄は大体この時期に一回上がっています。
パルステック工業(6894)
本命そのニ。X線、光ディスクの分野における検査装置の最大手です。
その技術を活かした、3Dスキャナーによるデータ取り込みに強みがあり、レーザ式の非接触三次元測定装置という技術を発表しています。レーザー粒子を飛ばして物体の三次元構造を把握して、より高精度な3DCAMデータにするんですね。当然ですがデータ精度が高いほど出力(プリント)されるものの精度も高くなります。
ローランドディー.ジー.(6789)
日本では数少ない独自の3Dプリンタを製造する企業で、切削型の3Dプリンタの製造しています(切削型は積層型と異なり材質を選べるらしい)。
アンドール(4640)
ここから下のアンドール、C&Cシステムズ、図研の三社は、3次元データ(CAD/CAM)の開発企業です(三社の違いは…………)。
データ精度がそのまま3Dプリンタの出力精度につながりますので、何時ものITビジネスと同じように、開発競争はハードウェアからソフトウェアに移っていくものと思われます。
C&Gシステムズ(6633)
金型用3次元CAM。
図研(6947)
プリント基板CAD/CAMの国内最大手で、世界でも高シェア。3次元CAD/CAMシステムも開発。
ナブテスコ(6268)
思惑買いの時期を超えてビジネスとして考えるなら、自社で製品開発をしている企業は十二分に候補になるでしょう。ナブテスコの子会社シーメットが3Dプリンタメーカー(光造形装置)です。
ちなみに、このナブテスコは産業ロボット用精密減速機で世界シェア6割の優良企業なので、ロボットの項目でも出てきます。
バイオプリンタ関連銘柄
簡単に載せますが、バイオプリンタはまだ本格化が先の案件で、これからブームが来そうな感じです(既に一回二回と暴騰しているみたいですがw)。一応別枠としてまとめました。
- 澁谷工業(6340):3Dバイオプリンタ。
- 大日本スクリーン製造(7735):3Dバイオプリンタ、3D細胞スキャナ。
- クラスターテクノロジー(4240):バイオ3Dプリンタ。
その他の関連銘柄
実際、大手のパナソニック、キーエンスも普通なら筆頭株なんですがね。そろそろ思惑買いでもない時期なので、このあたりにも候補が眠っていると思います。
- あいHD(3076):傘下のグラフテックが3Dプリンタの製造。
- 理経(8226):イスラエルSolido社が開発した小型デスクトップ3Dプリンターの販売。
- アルテック(9972):米ストラタシス社、仏Prodways社の3Dプリンター販売。中国でも。
- JSR(4185):傘下のディーメックが米3Dシステムズの3Dプリンタ販売。
- KIMOTO(7908):3D地図模型制作。
- 小松製作所(6301):3Dプリンター用鋳型材料。
- IHI(7013):次世代3Dプリンターの開発。「砂型」製造を目指す。
- キーエンス(6861):高精細樹脂積層型3Dプリンタの先頭。ロボットのイメージが強い。
- パナソニック(6752):金属積層タイプの3Dプリンター。
- アルゴグラフィックス(7595):3次元CAM。
- ソディック(6143):金属3Dプリンター。
- アビスト(6087):3Dプリンター造形サービス。
- ミマキエンジニアリング(6638):フルカラーUVインクジェットタイプ3Dプリンター。
- MUTOH HD(7999):米2社の3Dプリンターを販売。
3Dプリンタ関連銘柄(米国株)
前に上げた図を元に探してみましょう。AmazonやGE、Interやホームデポは大きすぎて3Dプリンタ関連銘柄とは言い難いので省きます。
3Dシステムズ(DDD)
最大手の3Dプリンター企業。3Dシステムズはハードウェアだけでなく周辺産業(サービス事業、材料事業)にも進出し、特に当初から3Dプリンタ導入が進んでいる自動車部品や航空宇宙産業、あるいは親和性の高い医療産業が主力です。
スマホ、ドローン、その他色々見ていても、市場が興った当初はハードウェアがビジネスを牽引し、やがて価格競争が進むとサービスや材料市場の方が魅力的であることが再確認される、そんな流れです(もちろんハードウェアも家庭用、業務用の開きがありますが、やがてコモディティ化するでしょう)。
その点、どちらかと言えば3Dシステムズのほうが抜かりない気はします……と思ったら赤字なんですね。高い利益率はどこへ……やっぱり期待先行と実ビジネスとしての成長企業は違いますかねえ。ハイエンドに集約しているようで、デスクトップ用のキューブ3Dプリンタ事業は停止してしまいました。
おかげで最近の米国好景気にもかかわらず、随分と安い位置まで落ちています。
ストラタシス(SSYS)
3Dプリンタ本体(ハードウェア)、材料ビジネス中心のストラタシスは、3Dプリンタの売上ベースでは2位3Dシステムズにダブルスコアをつけてトップを独走しています。
でも15年度決算はやっぱり赤字。まあ幻滅期にあるので仕方ない話ですが、どうなのかな。市場としては成長期待が十分あるわけで……事業向けはそろそろ普及期であると考えると、今のうちのような気もしないでもない。
エックスワン(XONE)
すみません。ここはIPOされたばかりで、このチャートも5年ものとなっていて前二社と違って見えますが、状況同じです。
3Dプリンタ本体と材料系が半分ずつくらい。ただしハイエンド向けばかりで、家庭用市場がより育っている米国においては下向きの業績です。
逆に家庭用の安価な3Dプリンタで業績を伸ばすXYZプリンティングは台湾の企業で、おそらくNYSEでは買えないかと思われます。
AUTODESK(ADSK)
世界で利用者が最も多い3DCADソフト開発企業。というよりほぼCADを作った企業です。Wiki先生曰く、次々に買収を仕掛けた結果、「3DCG業界の3大ソフトウェアであるMaya、3ds Max、SOFTIMAGE XSI(現:Autodesk Softimage)の全てを手中に収めている状態にある」らしい。
3Dプリンターで初のOSとなるSPARKの発表、オープンソースの光造形3Dプリンターをリリース。Google的ビジネスモデルで3Dプリンタが売れれば売れるほど利益が増していく見込みで、現ビジネスがプラットフォームをいかに押さえるかであることを考えると、最も有望と言っていいのではと思いました。
Local Motors
上場していない? 3Dプリンタで電気自動車を作った企業です。
参考記事:3Dプリンターカーで一躍有名になったLocal Motors本社を単独訪問
BAE Systems(BRAE.F)
イギリスの国防・情報セキュリティ・航空宇宙関連企業。NYSEに上場してないっぽいので割愛。
Makerbot
パーソナル3Dプリンタ。ストラタシス傘下のため割愛。