囲碁や将棋でプロに勝つ、文学賞で一次選考を通過する人工知能――――最近立て続けに紙面を賑わせた、AI進化の証があります。
グーグルのAI「アルファ碁」が人間に勝った理由とその意味とは?
AIは予想よりも遥かに早く進化していて、進化の度合いも私達の想像を超えています。
少し長くなりそうですが、AI(人工知能)の進歩について記事に起こしていきましょう。もちろんその過程で機械学習・ディープラーニングといった内容にも触れ、今回のAIブームが本物であること、つまり今のうちに株を買わなければいけないことを見ていきます。
目次(クリックで飛びます)
AI(人工知能)とは
AI(artificial intelligence:人工知能)とは……
人工的にコンピュータ上などで人間と同様の知能を実現させようという試み、或いはそのための一連の基礎技術を指す。
出典:Wikipedia
脳の仕組みは基本的に電気信号+化学変化なので、プログラムで必ず可能なはずだという大前提の元で、AIというプログラムによる知能の獲得を目指すものです。
これまでのブームと結末
人工知能はこれが3度目のブームと言われています。要するに過去2回は期待されながら失敗したわけです。この違いを腹落ち出来ないと、AI関連ビジネスへの投資が出来ません。
全体像としては以下のようになります。
1950~60年代 第一次AIブーム
世界初のコンピュータ(ENIAC)が出来た1946年からわずか10年後、上述のように機械と人間の頭脳は電気信号+化学変化のため代替可能だという楽観的な期待から、AIはにわかにブームを起こしました。米国では自然言語処理による機械翻訳が期待され、多額の予算が注ぎ込まれました(冷戦下のソ連の言葉を翻訳するため)。
方法論は「推論・探索アプローチ」と呼ばれるもの。冒頭で述べた囲碁・将棋に勝つAIのロジックも結局これです。
ちょっとイメージが湧きにくいかもしれませんが、例えば探索はクイズ王みたいなもので、膨大なデータベースの中から正しい答えを探してくるというだけのものです。推論とは本来、既知の情報から新しい結論を推理し導くという意味ですが、迷路やパズルを解くことはこれに当てはまります(膨大な計算をして虱潰しにルートを探せば、いずれ迷路の出口に辿りつけますよね)。
つまり、解きたい問題を推論・探索の形でプログラムに記述出来れば、コンピューターはそれに従って処理出来る、というだけです。しかしながら、これだけでは対応範囲があまりにも狭く、現実の問題に対して有効とは言えないため、ブームは収束しました。
余談ですが、AIという言葉は、1956年のダートマスワークショップにてジョン・マッカーシーという研究者によって命名されたものです。これもブームを巻き起こした一端ですね。
1980年代 第二次AIブーム
ブームのきっかけは、エキスパートシステム(MYCIN)と呼ばれる感染症診断治療支援システムが新米医師よりも診断成績が良かったことによります。また、その結果を受けて、日本の通産省は550億円を投じて第五世代コンピュータープロジェクトを発足させました。
またまた余談ですが、エキスパートシステムに41度の高熱がある患者の処置について聞くと、「解熱剤を飲ませる」または「殺す」という答えが返って来るという冗談があります(死ねば体温は下がる)。人間性を有さない機械が不安視される要因でもありますね。
話を戻して、第二次AIブームの特徴は「知識表現」です。要は知識を入れたら入れただけAIは賢くなるという理屈。まあその通りなんですが……じゃあ一から十まで人が教えるのか、教える人の言うことが正しいとどう判断するのか、どういう表現で教えるのかという根本的問題に直面し、ブームは一時的なものに留まりました。
ちなみに、ニューラルネットワークという脳の構造を模した仕組みが考案されたのも、第二次AIブームの時だそうです。
ニューラルネットワーク
意味不明のためざっくりとしか書けませんが……。
人間の脳はニューロン(神経細胞)同士がシナプスを通じて繋がっており、この間を電気刺激が伝わることで情報を受け渡しする仕組みだそうです。電気刺激は結合しているニューロン同士の結びつきが強いほど大きくなり、脳は何か新しく学習すると、このニューロン同士の結びつきの強さを変えて覚えていくのです。
これをプログラムの問題におき替えると、ご存知のようにプログラムは0と1の2進数で表現されています。ここでニューロンの電気刺激が発生する場合を1(つまり受け渡しする場合を1)、発生しない場合を0とします。AIが何かを学習すると、電気刺激が発生する・しないの基準をある変数(重み付け)を変えることによって精度を上げていくのです。
ただし、技術的な問題で、1980年当時は「入力」「中間」「出力」の3層しか作れなかったため、人間の頭脳が行うような複雑な学習は到底出来ませんでした。
この層を4層、5層と増やしていったものが、後述のディープラーニング(深層学習)です(なので、ディープラーニングは新技術でもなんでもなく、再発掘された昔なじみのある技術なのです)。
今回 第三次AIブームへ……
第三次AIブームは、直接的にはディープラーニングの登場です。有名なGoogleの猫認識や、冒頭の将棋プロジェクト、IBMのWatsonなどなど、ディープラーニングを活用した事例が一気に台頭し、ブームを呼び起こしました。
ただし、第三次AIブームの背景として、これまで何度も見てきたような技術的変化も見逃せません。
「AIを支える技術」として、ハードスペック向上によるリアルタイム処理やビッグデータの普及、「AIをビジネスとして活用出来る環境」として、クラウドの進展やスマホの普及等、過去とは比較にならないくらい「お膳立て」が整った状況なのです。
さて、第一次、第二次ブームにおけるAIの問題点は、判断ポイント(特徴量)を人間が教えていたことにあります。AIは考えて行動していません。予め人間の手で打ち出されたプログラムに従って、機械的に処理しているに過ぎないという根本的な問題がありました。
あるべき姿は、データそのものから機械が自分自身で特徴量を抽出出来ること。そこではじめて機械が「認識した」と言えるでしょう。もしそうなれば、24時間疲れることもなく自立思考する新しい知性が生まれるのですから、あらゆる分野で機械は人間の代わりか、それ以上の存在になるでしょう。
実際、特徴点を抽出した機械は、これまで人間にしか出来ないと言われていた映像認識を行えるようになりました。しかも16年現在、その認識力は人間を上回っているとまで言われています。
そしてそれを可能にさせたのが、ディープラーニングです。
ディープラーニングとは
ディープラーニングは、先ほど見たようにニューラルネットワークです。
人間の脳の構造を模したニューラルネットワークを深層まで増やし、人間が関与しないまま、機械自身が勝手に学習を進めることが可能になります。
次の記事でさらに詳しくディープラーニングについて書こうと思います。
他のIT系テーマについて以下でまとめております。よろしければ合わせてお読みいただけるとうれしいです。