電力自由化で得するまとめ(辛口)

テーマ株

新年度ですね。おめでとうございます。

今年度も仕事は適当に、こっちは全力で頑張っていこうと思います。

今回は電力自由化に関連した株と、企業の戦略のお話です。タイトルは意味不明です。

スポンサーリンク
スポンサーリンク

電力自由化は国策だから買い! ……なわけがない。

新たに創出される市場規模は7.5兆円、震災後からの国策、需要の絶えない防災分野と、条件はいい感じなのですが。

これから見ていけばわかりますが、魅力なさそうです。だって各社とも電力自由化で収益あげようと考えてないんですから。

下の方でいくつかのサービスを比較していますが、どこも自社の他サービスと併用してポイント還元(またはキャッシュバックキャンペーン)しか施策がありません。つまり既存サービスの囲い込みの手段でしかないということです。そんなに上手くいくんですかね……。

ある会社はポイント経済圏拡大のための囲い込み、ある会社は二年縛り解除等の代わりになる囲い込み、またある会社は翌17年のガス小売り自由化を前に囲い込み。

まあもちろん、消費者からすれば数%程度安くなるのでメリットではあるんですが。下の引用を見ていただくと分かる通り、消費者の最も大きな関心は高い電気料金が値下げ出来るか否かにかかっているのです。

東電が家庭契約のシェア2割を失っても痛くない理由
2016年4月から電力自由化がいよいよスタートする。各社から新料金が出そろい始めた中、東京電力の料金プランに着目した。ここから同社の事情が見えてくる。

市場調査によると、料金が5%低下すれば、48%の需要家が契約を変更したいという意向を持っており、実に半分の契約者が動く計算になる。各社の料金設定は、ここが1つのポイントになりそうだ。

当たり前のように値下げと言っていますが、その理屈は市場の競争原理が働くということだけであって、市場原理によってむしろ価格が上がる可能性もありますよ(海外事例では上がっています)。

なんで魅力ないものばっかり紹介しているんだろうと疑問を持たれるかもしれませんが、今回は仕事の関係上ちょっと調べていたので、せっかくだからアウトプットしようと思ったのです。使えないと判断するにも色々と知っておかなければなりませんからね。

……そもそも、電力自由化って何?

3つのプレイヤー

これを理解するために、図で見てみましょう。下の図は経済産業省のHPに載っているものです。

denryoku

(出典:経済産業省 資源エネルギー庁)

電力供給においては、「発電」「送配電」「小売」という3つのプレイヤーが登場します。今までは全て電力会社がやっていました。全部読んで字の如くですが、「発電」は既に自由化済み、「送配電」は最も重要なインフラとなりますので、政府の許認可が必要になります(20年頃自由化予定)。そして今回自由化されるところが「小売」のうちの消費者向け小口電力小売となります。

つまり、私達から見ると、買う相手が変わるだけで電力や送配電網に違いはありません(新しく電線を引いたりする必要はありません)。

電力自由化の背景

言うまでもなく、2011年3月11日の東日本大震災です(あれからもう5年ですよ)。私達の記憶にも新しいですが、電気が慢性的に不足する事態となり、「計画停電」とか「輪番停電」とかいう対処が続きました。もちろん東電の事故によるもの。

その根底にあった問題は大きくふたつです。どちらも電力の安定供給に関わっています。

  • 関西電力や中部電力などが電力を融通することができなかった→長らく続いた独占体制の問題が顕在化。ライフラインたる電力供給が絶たれたことで、この仕組みではいかんと法改正が急がれました。
  • 電力の性質上の問題で、電力は蓄電が出来ない→スマートハウスや太陽光発電、蓄電池システムの広がりに繋がっています。

こうした背景から電力システム改革の必要性が叫ばれ、16年4月1日、法改正により一般家庭などへの供給電力の小売り自由化が正式に通達されたわけです(ちなみに、この後2020年を目処に発送電分離が行われる予定です)。

電力自由化でこうなる

小売が自由化するだけなので、提供される電力そのものは全く同じです。じゃあなにが変化するのでしょうと言うと、こんな感じらしいです。

メリット

料金メニューの多様化

サラリーマンの一人暮らしであれば、平日日中帯は家にいないため電力供給が必要ありません。こうしたライフプランに合わせた柔軟な料金メニューによって価格を下げられ、無駄な電力を削減することが出来ます。

料金メニューが少ない小売事業(電力会社含む)は淘汰されますので、各社施策を打ち出すことになります。

価格低減

現在、一般家庭の1か月あたり電気料金は10,000円前後だそうです(2~4人家族想定)。これが電力自由化によって5~10%程度下がるものと見込まれています。

政府の規制が撤廃され、市場の競争原理が働くことによって、これまで独占市場で高い価格をつけていた電力の価格が下がるものと期待されているのです。

特にポイントやセット販売による実質価格減のキャンペーンが各社より展開されています。

デメリット

電力小売り企業からの供給が途絶えても、他から補給される……本当に?

ええ、経済産業省のHPにもそう謳われているのですが……本当に大丈夫なのでしょうか。万が一の事態には、他から補給出来る仕組みをちゃんと作っていないといけません。ま、まあこのために自由化したんだし、大丈夫、かな。

百社以上も参入してきていて、全社しっかりやっているとは思えないんですよね……まあ小さい会社はすぐ撤退すると思うけれども。

価格が下がる……本当に??

上で述べた通り、電気料金は完全な自由料金になります。政府の許認可が不要となるのです。市場シェア獲得の戦略として料金を下げることもあり得ますが、例えば燃料価格の上昇によって発電コストが上がれば、価格にダイレクトに反映されます。

生活に影響が大きいからこそ政府が価格上限をおさえていた面もあるので、安定性を欠くことになります。うーん。

……あれ? これってむしろインフラの安定性を弱めているのでは?

そうかもしれませんね。ここまでは机上の空論ですが、先行した海外の事例ではこんなことになっています。

海外事例は……

日本に先行して電力自由化を推し進めた先進国はたくさんありますが、アメリカ、ドイツの事例を見てみます。

自由の国アメリカ

自由主義の権化アメリカではいち早く、1990年台に電力自由化が取り入れられました。ところが、2000年にカリフォルニア州で大規模な停電が発生。原因は酷暑による電力需要増大と、燃料価格上昇です。電力会社の経営は悪化し、輪番停電が発生する事態となりました。

競争原理を持ち込んだことにより、社会インフラが守られる手段を放棄してしまったといえます(だって電力需要がより大きいのだからここぞとばかりに値上げするでしょう)。カリフォルニア停電以降は自由化の流れは停滞しているらしいです。

エネルギー先進国のドイツ

環境配慮の進んだ国というイメージの強いドイツ。一般家庭向けの電力自由化が始まったのは1998年のことでした。

で、こっちもGoogle先生で調べてみると、予測変換一発目に「電力自由化 ドイツ 失敗」の文字がw

どうやらドイツの場合は日本同様に大手8社で市場の9割を寡占していたところを自由化され、大手のいくつかが顧客を抱えたまま倒産したことで消費者に不安をもたらす結果となったみたいです。

他にも問題点はいくつかありますが、気になったのは電力価格の上昇です。導入によって一旦は下がった電力価格は、5年後には導入前より上がってしまっています。その後2009年には認可制としました。

wbg

あとは、プランが乱立しすぎていて誰も比較が出来ないことも悩みのようです(日本も既に比較出来ない状態になっていますね)。

参入する主な企業と戦略

前評判の良い企業の情報です。ただしいずれも電力自由化を理由に株を買うことはあり得ません。

大前提:付加価値はつけられず、売り方を差別化しているだけ。

セット割、キャッシュバック、ポイント……各社は現在既に自社で持っているサービスを利用している人は電気料金も下げますよ、という方針しか打ち出せていません。緩やかな囲い込みです(高い解約違約金は取れないため)。実質どれが一番安くなるのか分かりにくくなっていますが、どれも5~10%程度は下がると思っておけば良いです。

評判良さそうな企業一覧

KDDI(auでんき)

auユーザーが得するセット割キャッシュバックです。色々プランはありますが、大体5%くらいですね。auユーザーでないと一切割引は適用されないので、auでんきに加入するとスマホ解約が難しくなります。徹底した囲い込み戦略ですね。

加えてアプリによる電力の管理サービス等の独自色を出しているようです。こっちはアプリを落とせば別にKDDI経由する必要はありませんが。

デメリットとしては2,000円の解約手数料。はい。こういう拘束プランは得意ですもんね。余談ですがKDDIはau WALLETをはじめとしたau経済圏を組み立てようとしているので、本腰入れているのかもしれません。

ソフトバンク(ソフトバンクでんき)

スマホや光回線とのセット割。つまりauと似たり寄ったりな施策です。そもそも格安SIM利用の私には関係ない話ですね……。スマホはただでさえMNPのキャッシュバックとか色々な還元がありますので、目先の利益に飛びついて後悔しないようによく調べましょう。

東京ガス

ガス料金や光回線料金とセット割で安く出来るメリットが大きい東京ガス。今回の一番目玉です。

17年4月からはガスの小売も自由化されますので、その前の囲い込みといった感じですかね。ガスと同じく関東圏のみに販売。当然東京電力から融通されるわけですが、電力とガスはライフラインの親戚同士ということもあって、関東圏の信頼感は高いように思います。また、東京ガスが保有する発電所も多数ありますので、安定度では一番ではないでしょうか。後続のエネットにも出資していますので、実績十分。

エネット

今回の小口消費者以前に自由化された大口客向けの電気販売で圧倒的なトップシェア(50%以上)。それだけ実績がありますので、消費者向けの電気販売でも期待がされています。発電所も多く保有しています。

JX日鉱日石エネルギー(ENEOSでんき)

インフラ系のガスや通信回線系以外の企業だと、発電に強い石油系の企業があります。日本石油と三菱石油の合併により誕生したENEOSはガソリンスタンドシェア一位、もちろん多数の発電所も保有しています。ガソリンスタンドとのセット割は、他と比較して縛りが緩そうです。

ということで、消費者としての選択

まあ直近の料金が下がるのは間違いないので、お好みで契約しましょう。今はじまったばかりのサービスですので、ちょっと待って口コミを見てから決めたほうがいいです。今のところの候補としては、「東京ガス」「エネット」「JX」でしょうか(私は格安SIMのためキャリア不可)。

なるべく既にサービスを利用している会社がいいですね。わざわざ電気料金を下げるためにセット販売を購入するのは割に合いません。

 

長くなったので、投資判断は次回に回します。今回はここまでです。

タイトルとURLをコピーしました