私自身が小説を書いたり絵を描いたり、何かと気にしているコンテンツビジネス。今後も伸びていくことに期待していますが、構造には色々と変化があるようで、そのあたり色々思うところを書いていきます。
タイトルの付け方が悪いのですが、前半は動画配信をそろそろやりたいなと思って調べていた内容をミックスさせており、ちょっとまとまりのない内容になっています。
目次(クリックで飛びます)
コンテンツ産業の変化
「動画の時代」がやってくる
といっても、動画の時代の主戦場はこれまでのようなテレビとお茶の間ではなく、「ネット動画」の方です。既存メディアも最初のうちは所詮ネットと言っていたけど今や協力体制ですね。
ネット動画が大流行し、動画の時代がやって来ることについて疑いの余地はありません。やがては全ネットトラフィックの8割を占めるまでになると言われているくらい、今後は主流コンテンツになる見込みで、動画の動向を追うことでコンテンツビジネスの将来性が分かると思いました。
ネット動画のマネタイズは広告収入(動画は無料)か課金モデル(動画は有料)のどちらかですが、前者はYoutubeで後者はネットフリックスが有名ですね。それぞれのデータを貼っておきます。
動画の特色や各種データ
動画が流行るのは、受給両面の理由があります。
需要としてはもちろんユーザが動画を求めていることです。楽なんですよね、勝手に音と映像が流れてきて、受け身で視聴するだけで楽しめるスタイル。
一方で、供給側としてもテレビ時代からの「映像」による広告宣伝がユーザプロモーションに効果的であることが分かっているから投資するのです(静止画の2倍の効果というデータも)。動画であれば注目を集めやすく、商品やサービスの理解を深めてもらいやすく、具体的なイメージを伝えやすいといったメリットがあります。
先月のWeb Designing2月号に動画マーケティングについてあれこれ面白いデータが載っていました。ちょっと補足しながらまとめさせていただきます。
- 利用ユーザが増えている&視聴シーンが増えている(毎日見る人が4人に1人、通勤時間に半分、若い世代ほど動画視聴率が高く20代は9割が視聴、Youtubeの1日あたり視聴時間は数億時間など)
- PCではなくスマホ視聴が7割を超えてる=視聴機会の多様化、タイムシフト視聴の増加傾向(さらに言えば、縦型動画のみ視聴する層が4割弱存在する)
- コンテンツが増えている(Youtubeの投稿動画が1分あたり300時間以上のペース)
- 広告は短いほど効果があり、時間が長くなるほど効果が落ちる(特に短期では認知力向上に効果がある)
- 人間が得られる情報は、目から3割、耳から2割、両方だと7割になる(だから画像や音声よりも、動画が好まれる)
- 動画が無料であれば、8割のユーザは広告を許容する(6秒の広告)
- 動画広告はクリック率(CTR)が高い:通常バナーの0.1%に対して、動画広告は0.4%
- 動画広告の主流はインストリーム広告(Youtubeの動画が始まる前に15秒くらい流れるあれ)
ユーザは数十億人、検索も拡散もされやすくて効果も高い、などなど動画が爆発的に伸びる土壌が整ってきていると。
「短い動画」「縦で視聴する動画」「リアルタイム性」が主流に
マクロで見れば市場が伸びるのですが、あまりにも膨大なデータゆえに情報を処理しきれず、ユーザ側の取捨選択による優劣が明確になっていくと思われます。
ということで、今後の動画を考える上で、1~3分程度と短い動画によるワンポイントプロモーション、スマホ視聴を前提とした縦動画が主流になりそうです。加えて、今まで以上にリアルタイム性=その場限りの体験も重要視されてきています。
Youtube、ニコニコ動画、Facebook、Instagramなど、配信先によってユーザにも特色があるので、戦略を変えていくべきですね。Facebookはタイムラインに自動で流れるから短い15秒くらいの動画がいいとか、Instagramは若い女性が多いから画質に気をつけるとか。まず見てもらって、興味を持ってもらう(AIDMAの最初二つ)が出来ないとはじまりません。
参考動画広告って効果あるの?データから分かる市場規模や活用するべき業界
参考デジタル時代だからこそ求められるオンライン動画の3つの役割と価値
私はとりあえずYoutubeに出すネタを考えている最中です。
制作者の個人化が進展し、ニッチ市場開拓が進む
動画に限った話ではなく、あらゆるコンテンツが誰でも簡単に投稿出来る時代になりました。加えて、それらの視聴機会の増加が、制作者側も多様化=個人制作を増加させています。そうすると一人ひとりのニーズに合わせてニッチ化が進み、住み分けが出来てきます。
そうしたニッチ化はメガヒット=画一的な流行を難しくしますが、一方でインターネットによる個人メディアが台頭し、SNSで本当に面白いものが評価、伝搬されるようになっているので、ヒット作はかつてと比べ物にならない速度で伝播しますね(単発的なバズだけではメガヒットにならず、多角的な評価に耐えうる本当の名作がヒットする)。
日米の事情
日米のユーザ動向について、すごく良い表があったのでお借りします。15年8月時点の情報です。
ニコニコ動画が頑張ってるなって感じですが、米国は予想以上にネットフリックスが強いですね。Huluも含めて、米国はストリーミング配信が主流です。マーケティングという意味でも米国は日本より一歩先を行っています。
参考日米調査結果から予測する2016年コンテンツマーケティングの動向
ところで、私が書きたかったのは、日米のコンテンツ制作側の事情についてです。
米国:大手ストリーミング配信事業者はビッグデータ活用したコンテンツ制作
以前にネットフリックスの記事を書いたときに、ネットフリックスがビッグデータをコンテンツ制作の現場に持ち込んでいると話しました。
つまりですね、ヒット作なんて数撃ちゃ当たるの昔から、ある程度予測可能なものに変化してきているということです。誰が監督で、誰が主演で、どんなジャンルのどんなストーリーを書けばいいか、人間のカンより信頼出来るデータがあるんですね。
逆に言えば、ヒットを出せる制作者が正当に評価されているということです。事実、米国のコンテンツ制作者は大幅に平均賃金が上がっています(ゲーム開発に限った例ですが、米国はプログラマ=制作者が高く、日本はプロデューサー=管理者が高い)。
参考<転載>ゲーム開発者の平均年収 日本とアメリカの職種別ランキングも発表
AT&Tもそうでしたが、ただの配信事業者では生き残れない時代です。優良コンテンツが顧客囲い込みのための差別化ポイントなので、力点が配信者・管理者から制作者側に移ってきているのですね。
米国のトレンドということで、ジェトロのレポートもリンク置いておきます。
参考米国のコンテンツ製作に関するトレンド-コミックの映像化-
日本:管理者・配信者に巨大な権力が残ったまま
一方で相変わらず管理者配信者が強い構図が変わっていないのが日本ですね。高給取りのテレビ会社が企画したネタを、下請けが安月給で夜も寝らず制作するという、まあまあどこでも見かける日本の現場です。資本のあるメディアに力のベクトルが向いているのは仕方ないことでもありますが、日本の既得権益層は強いですね。
テレビは多くの下請けを競争させて、コンテンツを安く多く提供してきました。数を出せばそのうちのいくつかがヒットするからです。下請けは正社員として雇うことも難しく、ノウハウがどんどん流出していきます。今のところ、制作者は夢で食べていけない現実の中で仕事をやっていると聞きます。
これから先、上で見てきたようにテレビの影響力が縮小するに応じて、両者の力関係も徐々に変わってくるでしょうか。
まあでも、外から壁を壊してもらって、市場が公平な競争を促して、能力のある人が正当に評価されるようになったらいいですよね。クリエイターと配信事業者は、本来一蓮托生なのですから。これはテレビに限らずどんなコンテンツビジネスでも同じだと思います。
コンテンツ市場の展望
大体書きたいことは書いたので、あとおまけです。
現状
14年のデータですが、総務省が出している国内市場内訳が一番詳しいでしょうか。
過去からの推移を見ても、ほとんど横ばいで変化がありません。CD/DVDや書籍・雑誌といったテキスト系が落ちていく一方で、ゲームやインターネット配信といった映像系が伸びていることが分かります。
通信コンテンツに絞ると以下のようになっています。ソシャゲをはじめとした、モバイルコンテンツの成長が大きかったんですね。
クールジャパンの将来像
こんな面白いネタが落ちていました。
アニメのシェアってこんなものでしたか。リンク先を見てもらえば分かる通り、コンテンツ産業全体としては米国が35%を占めるのに対して日本は2.5%しかありません。キャラクターコンテンツはマネタイズ化が容易なため、もっと上手く活用してほしいものです。
マネタイズ戦略の多様化
前述のように、動画配信事業者としてのマネタイズ戦略は広告収入か課金モデルのどちらかになります。ユーザーを集めてネットワーク効果を生み、プラットフォームビジネスを展開するのでしょう。
一方でコンテンツ制作者側から見ると、また色々とマネタイズ戦略が考えられます。既存の枠組みに則って受注生産してもいいし、コンテンツそのものでブランディングをしてもいい、コンテンツの配信=消費者との接点ですので、そのコンテンツそのもので儲けようと窮屈なビジネスモデルを組む必要もないわけですね。
コンテンツ制作者にとっての諸々のリスク
AIとの競争
創造性を必要とする分野はAIが苦手、なんて今は昔。AIが書いた小説が新人賞の選考を突破するし、ゴッホやピカソの絵を再現出来るんです。怖いですねえ。
自動翻訳で世界中がライバルに……?
私、いつも思っているんですけど、日本語が書けるってすごいアドバンテージだと思うんですよね。イメージが頭の中にあったとしても、外国の人じゃ書けないじゃないですか。まして小説のような表現が重要視されるコンテンツで、日本語はネイティブにかないません。逆に私達がどれだけ英語を勉強してもネイティブには勝てませんしね。
ということで、日本語を必要とする仕事はグローバルならぬグローカルな市場で、一種の参入障壁があったはず。世界の70億人と勝負するよりも日本国内の1億人と勝負したほうがそりゃ勝率は高いですよね。
それが崩れる要素があるとしたら、自動翻訳の完成なのかなと。いまいちピンと来ないんですけども。
結論
「いいものを作ったら売れる」というわけではないものの、「いいものを作る人が評価される」仕組みは出来つつあるように思いました。私に出来ることは、せいぜいいいものが創れるようスキルを磨いていくことだけです。
頑張っていきましょう!
我ながら今回の記事は読みにくすぎる…………。なんか、色々他のことやりながら書いたせいでぶつ切りや矛盾がありますが、書き直しも面倒なのでそのまま出しちゃいます。すまぬ。