また前に読んだ本の再読シリーズで行きたいと思います。今回はタープ先生のポジションサイジングに関する本です(私が持っているのは旧版で、今は新版が出ていました)。
見落としがちなポイントでありながら、実はトレードの成功に最も重要な部分で、私はこの本から資金管理の基本を学びました(全体的な話も多々触れられていますが、この本で重要なのはポジションサイジングです)。特に初心者の方にこそ読んでもらいたい一冊です。
トレーダーとして生き残るために必須の資金管理
聖杯とは
- 聖杯とは稼げるシステムではない、聖杯とは自分の内にある
- 売買で重要なものは心理、資金管理(=ポジションサイジング)、システム開発の3つ
- 心理が100%重要で、心理の中にポジションサイジングやシステム開発も含まれる
- それぞれ言い方を変えれば、自制心、資金に対するポジションサイジング、利益と損失の手仕舞いということになる
- 売買において最も重要な考え方は、損失をいかに押さえるかにかかっている
- セットアップ(ポジションを取るための諸条件)はトレードの10%程度しか重要性はないし、仕掛けのテクニックも同様に重要性は低い。しかし両者は常に過大に評価されている
- トレードシステムを持っているとは、参入時にいつ撤退するか知っているということである
思い込み
- 世の中のシステムは仕掛け(いつ買うか?)のみのシステムがほとんどで、それはさほど重要な情報ではない
- パターンを見つけると、根拠もない因果関係を信じてしまう。ランダム性についてギャンブラーの誤謬という典型的な思い込みの問題がある
- 一方で、自分のシステムを傷つける誤った結果には目を瞑る
- 一から十まで理解していたいという思い(例えばニュースでは株価の上下動について適当な説明を加える)はシステム開発で顕著になる
- 多くのシステムではリスクを過小評価している
- この一回の売買で勝たないといけないという思い込みが強すぎる
資金管理=ポジションサイジングの考え方
- 長期的な期待値プラスを前提として、総合利益:最大リスク(ドローダウン)から許容範囲を決める
- リスクを全て想定することは出来ないが、それでも可能な限り起こり得る最悪のことを想定する(テロや通貨危機、業界の変動等)
- どのリターンを目標にして、そのためにいくらまで損失を許容出来るか考える
- 一回の取引にかけられるリスク、ドローダウンリスクは資金の何%までかを決める(大抵は一回の取引で1%程度まで)。リスクが決まっているのだから、それが資金の何%に当たるかはポジションサイジングの問題である
- ストップのポイントは金額ベース(資産の何%)ではなく、ボラティリティやライン等を見て設定する
勝つための要因
上4つは勝ち負けの期待値であり、リスクリワードを決める変数になる。下2つはポジションサイジングに関係している。
- 儲かる割合(信頼性があるものでなければならない)
- 一回あたり利益対損失(利益が損失のn倍ないといけない)
- 売買コスト
- 売買頻度
- 資金量
- ポジションサイジング(一回あたり取引量)
ということで、資金管理についての備忘録記事でした。書ききれない部分にも多くの含蓄ある内容が書かれており、ずっと持っておきたい一冊ですね。