世界の銀行の時価総額ランキングを見ると、上位を中国が独占しています。彼らの勢いは続くのでしょうか?
”覇権銀行”の変遷
中国には四大国有商業銀行というものがあります。時価総額の順番にこの4行で、中国全資産の8割を占めています。
- 中国工商銀行
- 中国建設銀行
- 中国農業銀行
- 中国銀行
これらの企業は香港あるいは上海市場に上場しており、日本からも株を買うことが出来ます。
が、それより見てほしいのが1988年のランキング。なんか知ってる名前がたくさんありませんか?
1988年は9/10が日本の銀行だった
英語ですが、ローマ字読みの会社がいっぱいですね。それもそのはず、1~5位はすべて日本の銀行でした。
- 第一勧業銀行
- 住友銀行
- 富士銀行
- 三菱銀行
- 三和銀行
バブル真っ只中の時価総額が最大になったタイミングを選んでいるとはいえ、どれだけすごいことか分かると思います。
しかし、2018年時点でランキングに残っているのは三菱UFJのみです。
実は、そもそも存続している銀行が9行のうち4行しかないのです。残りは統廃合しています。金融業の恐ろしいところはここです。
世界を席巻する中国銀行の今後は?
現在はトップを取っている中国銀行にも将来同じことが起こるのでは。
自分の中で調査が甘いため簡単にしか書けませんが、以下のような事実は知っておくべきだと思います。
- 売上、利益ともここ数年は横ばい
- 営業利益率は50%超えの水準(三菱UFJが20%程度なので、かなりの数字です)
- 不良債権比率は1.5~2.5%程度と低い水準(日本だとメガは1%、地銀で2.5%、信金なら5%くらい)
また中国GDP成長率は6.9%で、しばらくは投資先がある状態です。
米中関係の悪化に伴いここ1年は中国の株式市場が暴落しています。昨年の新興国投資が不調に終わっただいたいの理由です。
金融はそもそも景気敏感株ですし、中国四大銀行は中国全土をカバーするので市場の影響をモロに受けます。
ICBC銀行も18年は散々な年でした。
逆にバブルではない中でも時価総額はトップですので、何かあっても(現在進行系で何かありますが)1988年当時の日本よりドローダウンの危険性は薄いと言えるかもしれません。
2004年に不良債権比率が10%あったものを14年に1%台まで落としていたり、どうも日本の二の舞にはならないよう石橋叩いて渡っている感があります。
配当狙いの株ではない
とはいえ、配当利回りに釣られて買うのは得策じゃないと思います。私から見て中国に成熟企業はありません。
ボラティリティも大きいし、米国ほど還元性向も高くないし、なにより金融株は景気変動で減配リスクが高い銘柄です。
あと利回り5%なら他にもたくさんあります。例えばオーストラリアのウエストパック銀行は利回り7%になってますね。
銀行のブランド
ブランド価値ランキングというものがあります。ここでも中国四大銀行が強く、その後を米国の銀行が追いかけています。
ウェルズ・ファーゴ(WFC)がやらかしたせいで3位→5位に下がり、上位を中国独占状態。
銀行のブランド力とは?
金融業にもブランドが必要というのは当たり前の話です。
言ってしまえば金融事業なんてどこも(形は違えど)お金を商品にしているのは変わらないのですから、商品自体で差別化が難しいんですよね。
だから別のところで差別化するのです。
例えば?
- かっこいい所有欲のアメックスカード(AMEX)
- (最近やらかしたけど)地元密着で信頼性高いウェルズ・ファーゴ(WFC)
- 世界中どこでも使える最強国際ブランドVISA(V)、マスターカード(MA)
- 世界最大の金融資産を運用する安心安全のブラック・ロック(BLK)
このあたり、私が思うブランド力の高い金融ビジネス事業者です。
ちなみに、強いブランド力を持つ銀行ランキングでは、ちょっと変わった企業がランクインしています。米国企業は上位には不在で、ICBCはここでも3位に食い込んでいますね。
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銀行は経済の血液と言いますが、成長が縮小していくにつれて信用創造の能力は下がっていきます。なぜなら銀行は将来利子率込での返済を前提として貸出するからです。
ゼロ成長で銀行がビジネスに出来るのは、ただの仲介事業になります。
例えば世界で一か所にプール金を集めて好きなときに貸し借り出来れば、銀行という業務は不要になりそうです。まあこれは現実的ではありませんが。
あるいは一人ひとりの単位(条件)でお金の貸し借りが出来れば、大きな銀行を必要とするケースはぐんと少なくなります。
これはインターネットで実現しており、未来の話ではないのです。
もう誰もやってないと思いますが、VALUってサービスは結構先進的な取り組みだったと思うんですよ。
やっぱ悪用を防ぐ仕組みがないとダメですね。
私は”株式市場という資金調達の仕組み”が未来も残ると思っているのですが、どうなんでしょうね。
もし株式市場が消えるなら、そのときはお金がなくても困らない世界になったということじゃないかと想像しているのです。