【米国株】ビザ(Visa:V)の銘柄分析【利益率60%超】

米国株

今回はビザ(V)のファンダメンタル、チャート分析をやっていきたいと思います。

皆さんも一枚はビザのクレジットカードを持っているんじゃないでしょうか。この会社の決算数字もインパクトありますよ~。

動画も作ったので一緒に見ると理解が深まると思います。

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ビザ(V)の事業内容

ビジネスを3Cで分解してみましょう。

事業内訳

ビザは世界最大の決済システムを持つ企業で、クレジット、プリペイド、デビットの3決済全てを現金を介さずに電子決済出来るネットワークを構築・提供しています。

クレジットカードの仕組み

ちなみに、クレジット、プリペイド、デビットの違いは以下のようになります。

  • クレジット:クレジットとは信用取引のことです。例えばお店で商品を買った時、カード会社がお金を立て替えてお店に支払っておき、あとで私達がカード会社へ支払います。最も一般的な形態で、事後決済と呼ばれます。
  • プリペイド:クレジットとは逆に、あらかじめチャージした残高の範囲内でのみ利用可能な決済サービスで、事前決済と呼ばれます。
  • デビット:最近増えています。クレジットと似ていますが、こちらは銀行口座から即時引き落としされます。早くキャッシュが出ていくのに何が良いのかというと、預金残高が担保されているために審査が不要ということです。

クレジットカード決済の仕組みで説明します。

カード会社が消費者の与信審査を行い、支払い能力を認めた消費者にはカードを発行し、お店とは加盟店契約を締結します。

以下のように、カード会社が代わりに支払ってくれるので、私達は後払いで良いのです。私達の見えないところでは、お店がカード会社に加盟店手数料を支払っています。

(出典:ゼウス)

参考クレジットカードとは(決済の仕組みと流れ)

VISAのビジネスモデル(重要)

上の図でVISAはカード会社なのかというと、それは違います。「カード会社」は実際には以下のように役割が分かれており、クレジットカード決済に関わるプレイヤーは5つ存在しています。

(出典:VISA)

  • 国際ブランド:VISAの立ち位置です。ネットワークとオンライン決済システムを提供しています。ブランドと提携した加盟店でないと利用出来ないので、消費者からすればブランドの違いは使えるお店の違いになります。
  • イシュア:消費者に対してのクレジット利用契約を締結します。つまり、消費者から見て、カードを発行している会社で、商品購入時には代金を立て替え、後で請求と回収を行う会社です。
  • アクワイアラ:加盟店に対してのクレジット利用契約を締結しています。こちらは加盟店へ入金業務を行います。イシュアと同じになることが多いです。

図にすると分かりやすいので、お借りします。

(出典:国民生活)

VISAはあくまでネットワークと決済処理システムを提供しているだけで、イシュア、アクワイアラがカード発行や立替精算を行います。VISAの利益は決済手数料収入になります。

ちなみにVISAの主なイシュアはチェース銀行やシティバンク。

(出典:THE NILSON REPORT)

つまりですね、VISAには貸し倒れリスクというものは存在しないのです。ここが非常に重要です。

貸し倒れリスクはイシュアやアクワイアラが負っているのです(アメックスやJCBは自身でイシュアも兼ねているのでVISAとも少し異なります)。

そして、このビジネスモデルがプレイヤー全てにメリットのある三方良しのモデルであることにも注目してください。

  • 消費者:現金を手持ちしなくても、カードで後払い出来る利便性。
  • 加盟店:わずかな加盟店手数料を支払うだけで、顧客利便性向上=販売機会損失を避けることに繋がります。また、電子化によって現金管理が不要になることもメリットです。
  • イシュア、アクワイアラ:加盟店手数料で収益を上げるため、加盟店が増えれば増えるほど利益増(両社で分配)。リボ払い等の分割払い手数料が大きなマージンになります。アメックスのようにイシュアを兼ねる企業は、年会費徴収も収益源になります。
  • 国際ブランド:取引高が増えるほど決済手数料が増え、利用者が増えれば増えるほど手数料収入で潤います。規模の大きな国際ブランドが優先して使われるようになるネットワーク効果が働くので、シェア拡大すればするほど一人勝ちの構図になります。

決算書

長い前置きが終わったので、決算書を見ていきましょう。

ビザの取り扱い商品としてはクレジット、プリペイド、デビットのコア製品。

近年は取引量の50%を超えているスマホやICカードに搭載されている、非接触型決済。

小売よりも成長しているEコマース決済。

送金サービスのVISA Directなど。

コンサルやアナリティクス。

ただし、売上構造は、以下のように収入のタイプで分けられています。

  • Service Revenues:クレカなどVISA製品、サービス収益。
  • Data Processing Revenues:データ処理収益とあるので手数料収入ですね。
  • International Transaction Revenues:国際取引の収益。ビザは世界200か国で利用可能のため、為替取引サービスの収支も非常に大きくなります。
  • Other Revenues:その他の収益。

ビザの認証ネットワーク「VisaNet」は非常に巨大なネットワークです。

34億枚のカード、5000万の加盟店、米国で11.6兆ドルの取引高だそう。桁違いすぎる。もちろん毎年右肩上がりに増加していっています。

(出典:VISA)

海外売上比率が約50%です。

競合

VISAの競合は同じ国際ブランドになりますね。5大国際ブランドは以下。

  • VISA
  • MasterCard
  • JCB
  • Amex(アメリカン・エキスプレス)
  • ダイナース

これに加えて最近は中国の銀聯(ぎんれん:ユニオンペイ)も伸びています。

マスターカード、アメリカン・エキスプレスは以下で個別記事を書いているので、合わせてどうぞ。

【米国株】マスターカード(Master Card:MA)の銘柄分析
【米国株】アメリカン・エキスプレス(American Express:AXP)の銘柄分析

国際ブランドの収入は取引高に一定割合を乗算した手数料収入ですので、取引金額(Payments Volume)、取引量(Transactions)、カード発行枚数(Cards)で見ると実態が掴めます。

  • マスターカード:VISAの半分くらいの規模。といっても成長率ではVISAを上回ります。
  • JCB:日本発の国際ブランドで、日本では地位が高いものの、海外では苦戦中。
  • アメックス、ダイナース:ブラックカードが有名ですが、「保有しているだけでステータス」になるブランドで売っています。彼らはイシュアも兼ねており、ライセンスフィー以外に年会費収入が発生します。
  • 中国銀聯(ユニオンペイ):中国政府主導で2002年設立。後発ながら中国の人口パワーで急成長しています。発行枚数は60億枚でビザを抜いて世界トップ。でも実際は中国国外のシェアは1%程度しかないです。

取引量で見れば、VISAが圧倒的なトップに立っています。そこにユニオンペイとマスターカードが後を追っている状況です。

(出典:THE NILSON REPORT)

以下のサイトに多くの図説があります。イシュアやアクワイアラの世界シェア等も載っていたので、一応URL転記します。

参考THE NILSON REPORT

カード発行数ではユニオンペイがトップです。60億枚を超えるそうで、中国人は何枚持っているのやら。アジア(中国)で圧倒的な地位にあります。

(出典:THE NILSON REPORT)

ブランドが異なると加盟店が異なるので、クレカを使えるお店と使えないお店が出てきます。しかし、トップシェアのVISAなら大抵のお店で使えるはずです。

だって一番多くのユーザーが利用するのですから、お店としても最初に使えるようにしておきますよね。そうすると消費者側も最初の一枚をVISAにするはずです(これをネットワーク効果と言います)。

市場

電子決済市場は急成長中で、10年で2倍以上になっています。特にアジアの成長が顕著ですね。アジアは将来、北米を抜いて購買力トップに立ちます。

(出典:THE NILSON REPORT)

日本も同様です。国内スマートペイメント市場(電子決済)は、2024年度に45%のシェアを予想しています。

 

米国ではクレジットカード決済が主流になっていますが、日本のように現金文化が残っている国も多くあります。今回のコロナで流れが加速しそうです。

世界中でクレジットカード対応していると思いきや、まだまだ成長余地が大きいのです。

Eコマース市場もまだまだこれからで、現状のEC化率は日本7%、米国10%程度です。

BtoB-EC市場(企業間電子商取引)は広義で288兆円と、実はBtoCの市場より大きかったりします。

(出典:経済産業省)

Eコマース売上増加も追い風になります。な越境ECの記事もご参考まで。

3分で分かる、EC・越境ECの可能性(後編)

リスク要素

正直、リスクといっても潰れることは考えられないです。

不況時に落ち込み

ビザは収入は取引決済高の一定割合を手数料として受け取るものです。当然消費が落ち込めば売上が落ちます。

現在コロナによって取引量など各指標が下がっています。

米国個人消費が急落しているので、次回以降の決算に注目。

フィンテックの影響

金融の既存事業を破壊すると考えた時に思いつくのはフィンテック(ビットコインやブロックチェーン技術)です。

フィンテック、ビットコインのまとめ(フィンテック編)
3分で分かる、ブロックチェーンの応用範囲と、変化する社会

以前の記事でも書いた通り、ブロックチェーンの本質は、相互に信頼関係の無い不特定多数の間で権利の移転を実現することに適しています。

とはいえ、インフラビジネスというのはスイッチングコスト(乗り換えることでかかるコスト)も大きく、ちょっと利便性が上がったからといって簡単に動くものではありません。

ブロックチェーンを決済機能に取り込む需要として、利幅の薄い超小額のビジネスが出来るようになるといった価値はありますが、共存していくものと考えました。

そしてそもそも、VISA自体がこうしたフィンテックへの投資を強化しています。

アップルペイのような新たな決済

日本で乱発しているペイサービスも同様。モバイル決済サービスがVISAのシステムに相乗りする形のため、これはリスクになり得ません。

アップルペイはVISAの決済インフラ「VISAトークンサービス」を使っているらしいです。

アリババのアリペイなんかは独自決済インフラを使っているらしいですが(そのためユニオンペイはカード決済のトップでも、スマホ決済のシェアは10%しかない)、それらがドルや円と決済するには結局VISAのシステムを介することになります。

競合他社

上でも書いたようにネットワーク効果が働きますので、シェアは奪われるよりもむしろ奪う側です。

競合としては、ユニオンペイとマスターカードくらいでしょうか。

世界の購買力予測においては、今後アジア圏が北米を抜いてトップに立ちますので、ここをおさえる必要があります。ユニオンペイは勢いがありますので、今後一番の競合になるのはここではないかと思われます。

(出典:THE NILSON REPORT)

ビザ(V)の財務分析

PL

成長著しい企業ですが、それにしたって利益率60%超はヤバすぎですね。これは人気出ますわ。ROAも20%以上をキープし、素晴らしいの一言です。

BS

安全性指標もずば抜けています。自己資本比率75%以上、借入金は自社株買いに使ってるのかな。

もう金融インフラとして根付いてしまったので、数値に出て来ない安定感も加味すると、潰れる気配は微塵もありません。

CF

設備維持のための投資はほとんど不要で、利用者の拡大に伴ってただただキャッシュフローが増加して行きます。

営業CFとFCFがほとんど並走していますね。

株主還元指標

配当性向は20%以下と配当少なめですが、自社株買いはかなりやっています。配当と自社株買いの比率は1:4くらいですね。

また地味に連続増配株になっていて、現在12年連続増配中です。配当貴族入りは間違いでしょう。

今の利回りは非常に低い水準ですが、成熟期に入っても安定して収益を上げることが出来るため、今後は高配当銘柄になるかと思っています。

【米国株】将来連続増配がありそうな銘柄12株(コメントつき)

直近配当利回り:0.60%

ビザ(V)の株価、チャート分析

とりあえずリアルタイムチャートのリンク置いておきます。

ビザ(V)-Yahoo!ファイナンス

過去の最高値、最安値

すごい上昇トレンドでした。100ドルの節目もあっさり突破し、200ドルの天井と合わせてコロナでダブルトップを形成し、下落した格好。

リーマンショック以降10年で株価は20倍になった計算です。

  • 最高値:210.29ドル(20年2月)
  • 最安値:10.44ドル(09年)

今は150ドルを節目に反転していて、18年下期からのサポートラインとしてやや強く映ります。

ちなみに、リーマンショック時のチャートを拡大すると50%近い下落を記録してはいます。とはいえ今は当時よりはるかに電子決済が普及しているので、耐性も強いと思われます。

今後の値動き予測

5年チャート

150ドルのラインが見えます。100ドルのときにもう高いと思ったんですが(笑)

1年チャート

コロナ影響はそろそろ見えなくなってきました。このバネを不動産やエネルギー株にもください。

ビザ(V)の投資戦略

まとめます。

  • ビザは電子決済システムを扱う国際ブランドの最大手で、取引量は世界トップシェア。
  • 売上は毎年2桁成長で、ネットワーク効果で拡大が続く
  • 世界的に見ても電子決済市場はこれから急拡大の見込み(特にアジアマーケット)
  • 営業利益率は60%を超え、安定性と成長性を両方備えた財務諸表
  • チャートはコロナで下落も、150ドルを下限にすぐ復帰した

回答

ビジネスモデルが完璧すぎて、米国株の中でも指折りの優良銘柄だと思います。

利益率60%はGAFAMでも達成できない数字です(アップル25%、グーグル21%、マイクロソフト38%)

収益率を考えると安く購入したいと思うかもしれませんが、実際そうしたタイミング投資は長い目で見ると大して影響しません。

ポートフォリオに加えること自体を目的に買うのも大事なことです。それでも安全マージンを取るなら150ドルに近づいたら買う、くらいが直近の目安かと。


動画再掲

これまで調査してきた米国株の個別銘柄記事リストをまとめました! 企業名クリックで各詳細記事に飛ぶことが出来ます。

企業名
(リンク先は分析記事)
ティッカー業種区分主力事業、ブランド
アマゾンAMZNITネット小売、クラウド
アルファベット/グーグルGOOGLIT広告(検索)、AI
アップルAAPLITiphone
マイクロソフトMSFTITOS、Office365
フェイスブックFBIT広告(SNS)
IBMIBMITクラウド、AI
インテルINTCIT半導体(PC、サーバ)
クアルコムQCOMIT半導体(モバイル)
エヌビディアNVDAIT半導体(GPU)
オラクルORCLITソフトウェア(DB)
オクタOKTAITオクタ
シスコCSCOITネットワーク機器
アリババ・グループBABAITタオバオ、Tmall、アリペイ
テンセントHKG00700ITテンセント
バイドゥBIDUIT百度
ビザV金融決済インフラ
マスターカードMA金融決済インフラ
アメリカン・エキスプレスAXP金融決済インフラ
スタンダード&プアーズSPGI金融格付け機関
ムーディーズMCO金融格付け機関
ブラックロックBLK金融運用会社
ウェルズ・ファーゴWFC金融商業銀行
JPモルガン・チェースJPM金融商業銀行、投資銀行
シティグループC金融商業銀行、投資銀行
ウエストパック銀行WBK金融オーストラリア銀行
バークシャー・ハサウェイBRK.B金融バークシャー
AT&T T通信モバイル通信
ベライゾン・コミュニケーションズVZ通信モバイル通信
ネットフリックスNFLX通信動画配信サービス
ウォルト・ディズニーDIS通信ディズニー、ESPN
ジョンソン・エンド・ジョンソンJNJヘルスケア医薬品(ステラーラ)、バンドエイド他
メドトロニックMDTヘルスケア医療機器(ペースメーカー他)
アボット・ラボラトリーズABT/ABBVヘルスケア栄養補助食品、医薬品(ヒュミラ他)
ブリストル・マイヤーズ・スクイブBMYヘルスケア医薬品(オプジーボ他)
ファイザーPFEヘルスケア医薬品(プレブナー、リリカ他)
メルクMRKヘルスケア医薬品(キイトルーダ他)
ギリアド・サイエンシズGILDヘルスケア医薬品(ハーボニー他)
CVS ヘルスCVSヘルスケア薬局、PBM
ユナイテッド・ヘルスUNHヘルスケア医療保険、PBM
P&GPG生活必需品ビューティー(パンテーン、SK-II)他
ユニリーバUL生活必需品パーソナルケア(Dove、LUX)
コルゲート・パーモリーブCL生活必需品オーラルケア(歯磨き)
コカ・コーラKO生活必需品コカ・コーラ
ペプシコPEP生活必需品ペプシ・コーラ
ゼネラル・ミルズGIS生活必需品ハーゲンダッツ
クラフト・ハインツKHC生活必需品チーズ、ケチャップ
マコーミックMKC生活必需品スパイス
ホーメルフーズHRL生活必需品SPAM
マクドナルドMCD生活必需品マクドナルド
スターバックスSBUX生活必需品スターバックス(スタバ)
ウォルマート・ストアーズWMT生活必需品大型店舗小売
コストコ・ホールセールCOST生活必需品会員制小売
ホーム・デポHD生活必需品DIY小売
フィリップ・モリスPM生活必需品たばこ(マルボロ)
アルトリア・グループMO生活必需品たばこ(マルボロ)
レイノルズ・アメリカンRAI/BTI生活必需品たばこ
アンハイザー・ブッシュ・インベブBUD生活必需品バドワイザー
ナイキNKE生活必需品スニーカー(ナイキ・エア)
ギャップGPS生活必需品GAP、オールドネイビー
エクソン・モービルXOMエネルギー石油メジャー
シェブロンCVXエネルギー石油メジャー
ロイヤル・ダッチ・シェルRDS.Bエネルギー石油メジャー
ボーイングBA資本財B787ドリームライナー
ロッキード・マーティンLMT資本財ステルス戦闘機F-35
ユナイテッド・テクノロジーズUTX資本財航空機エンジン、エレベーター
キャタピラーCAT資本財建設機械(油圧ショベル他)
ゼネラル・エレクトリックGE資本財照明、航空機エンジン
テスラTSLA自動車電気自動車(EV)
スリーエムMMM素材ポストイット
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